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名作日本映画ぶち壊しの駄作…史上最悪のリメイク映画(4)敵キャラなしは無理? 米国は理解できない日本ホラー

text by 編集部

日本映画が海外でリメイクされている作品がいくつか存在するが、今回はその中から史上最低の映画をセレクト。興行的には成功した作品でも、オリジナルファンを憤慨させる駄作や、監督が嫌々で制作したもの、そもそも公開に至らなかった作品など、あらゆる方向からワーストリメイク映画を選出した5本を紹介する。

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黒沢清映画をリメイクするのは不可能!ハリウッド不向きなホラー作品

『パルス』(2006)

クリステン・ベル
クリステンベルGetty Images

上映時間:86分
原作:『回路』(2001)
製作国:アメリカ
監督:ジム・ソンゼロ
脚本:ウェス・クレイブン、レイ・ライト
キャスト:クリステン・ベル、イアン・サマーハルダー、ジョナサン・タッカー、クリスティナ・ミリアン、リック・ゴンザレス、サム・レヴァイン、オクタビア・L・スペンサー

【作品内容】

日本を代表するホラー映画の巨匠・黒沢清監督の『回路』を、『エルム街の悪夢』や『スクリーム』を手がけたウェス・クレイブンが脚本を担当したハリウッドリメイク作品。

女子大生のマティは、連絡が取れなくなった元恋人の部屋を訪れるが、そこで首吊り自殺をした彼を発見する。その死に違和感を感じたマティは彼の遺品であるパソコンに手掛かりがあることを突き止める。

【注目ポイント】

本作は、「幽霊に会いたいですか?」というキャッチコピーで、ネットを通じた怪奇現象を描いた監督・脚本を黒沢清が務めた『回路』を、アメリカホラー界の巨匠ウェス・クレイブンの脚本でハリウッドリメイクされた作品。主人公の周辺で、自殺や失踪が相次ぎ、亡き恋人のパソコンに、その秘密があることを突き止めるが、それが故に、主人公にも恐怖が襲うという物語の根幹は同じだ。

『回路』は、国内の興行収入こそ約2億円にとどまったが、カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞するなど、その内容は高評価を受けた。

一方、リメイク版である『パルス』は、約2990万ドル(約40億円)を超えるヒットを記録し、続編が2本製作された。

人間が死んだら魂があの世に行くという前提で、あの世の容量が限界を超えたらどうなるのかというテーマに挑み、結果的に人類は破滅に至るというストーリーなのだが、幽霊が人間を襲うシーンもなければ、襲い掛かる幽霊を斧で叩き切るといった戦闘シーンもなく、あくまでも淡々と死生観を描いている作品で、良くも悪くもホラー映画っぽくないのが特徴である。

原作の『回路』は、難解で複雑すぎるストーリーや意味深な演出が物議を醸し、一部でカルト的な人気を誇ったが、“意味不明”という声も多かった。ホラーに限らず、不気味な演出では日本映画界随一の黒沢清だが、時として深い洞察が必要な作品が賛否両論を呼ぶ作風でも知られている。

こうした作品を“完コピ”でアメリカへ持っていくことは、ほぼ不可能だ。アメリカでリメイクするには、往々にして、明確な“敵役”の存在が必要であり、その相手との闘いが最大の見せ場となるからだ。

アメリカ映画らしく、VFXを多用した映像は迫力十分だが、肝心の敵が不明瞭であるため、ストーリーに締まりがないの点は致命的とも言える。製作費をペイこそできたものの、派手さが売りのハリウッドリメイクには向かなかった作品であり、その点、ミスマッチだったと言わざるを得ないだろう。

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