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最悪の改変…原作者がブチギレた? いわくつきの民放ドラマ(1)もはや発狂…漫画連載まで終わらせたドラマは?

text by 寺島武志

日本で製作されるドラマの多くは、小説や漫画が原作になっている。世界観を忠実に再現した作品は高評価を得ることができ、ドラマにも原作にも相乗効果を生む。しかし中には、ありえない改変をほどこし、視聴者のみならず原作者まで敵に回してしまう残念な作品が存在する。そこで今回は、原作者が激怒したドラマを5本紹介する。(文・寺島武志)

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キャラクター設定を変えられて失望

『いいひと。』(1997)

草彅剛【Getty Images】
草彅剛Getty Images

主演:草彅剛
放送期間:1997年4月15日~6月24日
放送時間:火曜22:00~22:54
放送局:フジテレビ系(関西テレビ制作)
原作:高橋しん
脚本:田辺満、中谷まゆみ、三上幸四郎、樫田正剛
最高視聴率:24.6%
他キャスト:菅野美穂、財前直見、細川茂樹、伊東四朗、野村佑香、京本政樹、片平なぎさ、矢部美穂、鶴田忍、梶原善、宝積有香、八名信夫

【作品内容】

北海道の大学の体育学部4年にして、陸上部の長距離走選手の北野優二(草彅剛)は、自ら愛用するシューズの販売元で国内最大手のスポーツ用具メーカー「ライテックス」の入社試験のため上京する。

しかし“いい人”であることが災いし、困っている人に出会う度に助けることで、面接に遅刻し、人事部長に呆れられる。ところが意外にも内定を勝ち取り、憧れの会社に採用される。

だが優二は、新入社員を代表してのスピーチ、いきなりで社長に苦言を呈し、周囲を凍り付かせる。その後、様々な部署を異動することになった優二は、反感を持たれたり、時には疎まれ、嫌がらせを受けながらも、持ち前の人の“いいひと”な性格で周囲の心を動かしていく。

【注目ポイント】

当時SMAPの一員だった草彅剛が、単独で連ドラ初主演となった本作。

初回放送の視聴率は24.6%、平均視聴率でも20.4%を記録し、エンディングテーマとして採用された、山崎まさよしによる楽曲をSMAPがカバーした「セロリ」は73.2万枚の大ヒットを記録。DVDもセールスを伸ばし、表面的には大成功したドラマだった。

しかし、その裏で初回放送を見た原作者の高橋しんは激怒していた。ドラマ化にあたって出した条件は「優二と、その彼女の桜妙子(菅野美穂)のキャラクターを変えないこと」だったにも関わらず、約束は反故にされ、原作とはかけ離れたものになってしまっていた。

これに対して高橋は「原作」という言葉を使うことを許さず、「原案」に変更させ、果ては「ビッグコミックスピリッツ」での連載を休止してしまう。

高橋は単行本最終巻のあとがきで、ドラマが連載終了の原因であると明言。草彅の出世作となった作品だが、後味の悪さを残した。

原作マンガを大きくアレンジしたドラマがヒットするケースはよくあるものの、原作者が連載を終了させるまでに至ることは稀だ。マンガをドラマ化する難しさを示したエピソードとなってしまった。

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