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視聴者にそっぽ向かれた…期待外れのワースト冬ドラマ(4)ポンコツ男にモヤモヤ…虚しい批判の的になったのは?

text by 寺島武志

今や配信で様々な作品が気軽に観られる時代の中、テレビも負けじと良作を生み出そうと必死だ。しかし残念ながら視聴者の期待に添えずに不評に終わる作品も存在する。今回は2024年1月から3月にかけて放送された冬ドラマの中でも最もつまらなかった民放ドラマを5本セレクト。不評だった理由も徹底解明する。(文・寺島武志)

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『リバーサルオーケストラ』と設定が酷似?

『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』

西島秀俊
西島秀俊Getty Images

放送期間:2024年1月14日~3月17日
放送時間:日曜21:00~21:54
放送局:TBS系
脚本:大島里美
キャスト:西島秀俊、芦田愛菜、石田ゆり子、宮沢氷魚、満島真之介、玉山鉄二、西田敏行、新木優子、當真あみ、佐藤緋美、久間田琳加、大西利空、淵上泰史、津田寛治

【作品内容】

若くして海外で活動し、数々の著名なオーケストラを率いた“天才マエストロ(指揮者)”の夏目俊平(西島秀俊)。アパッシオナート(情熱的)に音楽に取り組み、同僚たちからも慕われる存在だったが、5年前に起きたある事件で家族も音楽も失い、表舞台から姿を消していた。

そんな父を拒絶し、元天才バイオリン奏者だったものの、音楽嫌いとなってしまった俊平の娘の響(芦田愛菜)。二人が解散寸前の地方オーケストラを通して失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていくヒューマンストーリー。

【注目ポイント】

NHKも含めた全てのドラマ枠で最も長寿で、60年以上の長い歴史を持つTBS「日曜劇場」枠にて放送された本作。昨年放送された『VIVANT』は社会現象にもなり、令和時代となってから、ドラマの視聴率の上位4位までは、この「日曜劇場」の作品だ。

このように“固定客”がいることで、視聴率もかろうじて2桁をキープし続けたものの、仮に本作が他の枠で放送されていたとしたら、その評価はどのようなものだったのだろうか。そんな思いを抱かせる、モヤモヤした作品だった。

オリジナル脚本を担当した大島里美は、数多くのホームドラマを描いたベテランだが、「日曜劇場」は初チャレンジ。しかし、この枠のドラマを長年にわたって見続けてきたドラマファンには受け入れられず、前年に日本テレビ系で放送された『リバーサルオーケストラ』(2023)に、設定が酷似していたことも批判の的となった。

主演にオスカー受賞作に出演した西島秀俊と、元天才子役にして本格派俳優に脱皮しつつある芦田愛菜を据えておきながらも、作品評価を押し上げるには至らなかった。

西島演じる、天才マエストロの夏目は音楽の才能はあるものの、その他のことは何もできず、考え方もマイペース過ぎるポンコツ男。片や、芦田演じる娘の響は、父を毛嫌いして、父の声かけを無視したり、何かにつけて父を睨みつけるなど、前半は家庭内の不協和音が続く。

娘が何故、父親をそこまで毛嫌いするのか、このドラマが一体どこへ向かいたいのか、視聴者は分かるようで分からないまま終盤まで付き合っていく羽目となる。

最終回に帳尻合わせするようにハッピーエンドに持っていくのだが、消化不良感のみが残った。

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