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日本映画史上最悪の続編は…?大失敗のシリーズ最低作(1)なぜ作った…おじいちゃんすぎて迫力激減したのは?

text by 寺島武志

映画のシリーズ化はファンにとって喜びである一方、やはり前作を超えなければ意味がない。観客の期待はシリーズを追うごとに高まり、上限を知らないからだ。だが上がりきった評判は下がるしかないのが世の常。そこで今回は、残念ながら観客の期待に応えられなかったシリーズ史上最低の日本映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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興行的には成功も…出演者の高齢化により迫力減

『アウトレイジ 最終章』(2017)

北野武(ビートたけし)
北野武ビートたけしGetty images

上映時間:104分
監督・脚本:北野武
キャスト:ビートたけし、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、白竜、名高達男、光石研、岸部一徳、塩見三省、原田泰造、池内博之、津田寛治、金田時男、中村育二

【作品内容】

前作『アウトレイジ ビヨンド』で関東の山王会対関西の花菱会の巨大抗争の後、大友(ビートたけし)は韓国へ渡り日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。

韓国の歓楽街を仕切っていた大友のもとへ、花菱会幹部の花田(ピエール瀧)よりクレームが入る。これが原因で、花田は大友の手下を殺し、張会長のグループを敵に回す。

時を同じくして、花菱会では会長の後釜に元証券マンで娘婿の野村(大杉漣)が会長となったことで内紛が勃発する。

【注目ポイント】

ヤクザ同士の抗争を描いた『アウトレイジ』(2010)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)に次ぐシリーズ3作目にして完結編の本作。キャッチコピーは『全員暴走』。

過去の清算の機会を狙う大友と、花菱会のトップを狙う花田の暴走を軸に、苦悩や悲哀を重厚に描いた本作。ヴェネツィア国際映画祭でクロージング上映された。

興行収入的には『アウトレイジ』の7億5000万円、『アウトレイジ ビヨンド』の14億5000万円を超える、15億9000万円を記録した本作。しかしながら、『ビヨンド』のすっきりとしたラストシーンを知るファンからは「なぜ3作目を製作した?」という疑問とともに、賛否両論を巻き起こした作品となった。

前作で、中野英雄、新井浩文、三浦友和、加瀬亮、中尾彬、小日向文世といった主な登場人物が殺害され、新たに大杉漣、ピエール瀧、大森南朋、岸部一徳、原田泰造、池内博之などが登場しているが、トラブルによって抗争が勃発→報復が始まる→皆殺しにする→最後は主人公が自殺、あるいは殺されるというパターンが、シリーズを通して繰り返され、加えて、ビートたけしも含めた主要キャストが高齢であるが故、「迫力に欠ける」という声も多かった。

結果的に『アウトレイジ』シリーズの完結編というよりも、2018年2月に66歳の若さで急逝した大杉漣の遺作として記憶される作品となった。

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