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パクリ疑惑のある日本映画は…? 物議をかもした問題作(3)痛々しいほどお粗末…黒歴史級の爆死だったのは?

現在、日本では年間500本以上の映画が制作されている。しかし、いちから作品を作るのはいつの時代も難しい。そのため、時には、ヒット作のアイデアをしれっと拝借…なんてことも。そんなわけで今回は、ハリウッド映画からのパクリ疑惑がある邦画5本をご紹介。見どころとツッコミどころを解説する。(文・編集部)

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日本版『トップガン』はまさかの大爆死

『ベストガイ』(1990)

悟役の織田裕二【Getty Images】
悟役の織田裕二Getty Images

上映時間:115分
監督:村川透
脚本:高田純、村川透
出演者:織田裕二、財前直見、長森雅人、東幹久、黒沢年男

【作品内容】

北海道の航空自衛隊千歳基地に、新人パイロットが赴任してくる。ロッカールームで山本飛行隊長らに迎えられ、軽口を叩くこの男こそ、梶谷英男だった。

抜きん出た飛行技術を持つ梶谷は、クラスメイトたちと反発し合いながらも、互いに成長していく。そんなある日、訓練幹部が、3年間空席になっている「ベストガイ」を千歳に誕生させると宣言。梶谷は、盛り上がる隊員をよそに無関心を装うが、戦技訓練では卓越した腕前を発揮する。

そんなある日、他国の領海侵犯事案が発生。梶谷は、「ベストガイ」最有力とされるライバル名高とともに任務に着くがー。

【注目ポイント】

1986年に公開され、その年の最高興行収入を記録した大ヒット映画『トップガン』。その「日本版」として制作された作品が、この『ベストガイ』だ。とはいえ、『トップガン』の製作チームに正式な許可を得て制作された作品では、もちろんない。

それにもかかわらず、重要な設定は本家を大胆に模倣している。例えば、主人公がヒロインと出会うのが基地近くのバーであり、その場ではお互い素性を知らせずに基地で再会する、という展開。主人公が事故に遭ってスランプになりそこから立ち直るプロセスをドラマチックに描く点は、『トップガン』と同じだ。

監督は『野獣死すべし』(1980)や『あぶない刑事』シリーズで知られる村川透。主人公の梶谷英雄をトレンディ俳優として人気を誇る前の織田裕二が、ヒロインの深雪を財前直見が演じる。

アメリカ海軍の協力が話題となった本家『トップガン』よろしく、航空自衛隊からの協力を経て制作されている本作。梶谷が日本が誇る戦闘機F-15Jの実機飛行のシーンは、本家と比べても引けをとらないシーンに仕上がっている。

ちなみに、航空自衛隊から協力が得られた背景にも本家の影響がある。アメリカで『トップガン』が公開された当時、米軍の入隊希望者は劇的に増えたという。日本の航空自衛隊も『ベストガイ』に同じ効果を期待したのだろうか、製作に協力を惜しまなかったというわけだ。

とはいえ、飛行シーン以外のドラマパートは、お粗末の一言。特にくさいセリフの応酬やとってつけたような恋愛シーンは、バブル時代の世相が反映されており、観客の共感性羞恥をくすぐる仕上がりになっている(サングラスでアメリカ人ぶる主人公がなんとも痛々しい)。

なお、本家『トップガン』が36年を経て続編が作られるのに対し(『トップガン マーヴェリック』)、本作は興行収入10億円に届かない大爆死を記録。織田裕二の黒歴史と噂されている。

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