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ヤバすぎてドン引き! 暴力・性描写…ぶっ飛び時代のドラマ(5)夜9時に衝撃シーン…大女優の黒歴史とは?

text by 寺島武志

コンプライアンス意識の低かった時代、映画もドラマもやりたい放題だった。暴力、過激な性描写、宗教問題、闇金…今の時代からは考えられないような描写を含むドラマが多数存在していた。中にはスポンサー降板の事態に陥る寸前の作品まであったという。そこで今回は、不適切にもほどがあるドラマを5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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夜9時からの放送とは思えない過激なシナリオで物議を醸す

『悪魔のKISS』(1993)

常盤貴子
常盤貴子Getty Images

放送期間:1993年7月7日~9月22日
放送時間:水曜21:00~21:54
放送局:フジテレビ系
脚本:吉田紀子
最高視聴率:16.%
キャスト:奥山佳恵、深津絵里、常盤貴子、大鶴義丹、寺脇康文、西島秀俊、夏木マリ、黒田福美、益岡徹、五十嵐いづみ、柄本明

【作品内容】

静岡県から就職、あるいは進学で上京した、中学時代の同級生でもある3人の女性、斉藤みさを(奥山佳恵)、朝倉幸子(深津絵里)、柘茉莉子(常盤貴子)が、レイプ被害や新興宗教、さらには借金地獄に陥り、風俗店で働き始める様を描いている地獄のようなストーリー。

【注目ポイント】

登場人物はヤクザや闇医者、サラ金の取り立て、インチキ宗教の信者、盗聴魔などクズ人間がテンコ盛りだ。

作中で起きる事件も脅迫・恐喝は当たり前、覚醒剤や中絶、自殺に殺人と夜9時からの放送とは思えない過激なシナリオだ。

このドラマのハイライトといえば、常盤が演じる茉莉子が働くファッションヘルスに寺脇康文演じる加藤明夫が最初の客として現れるシーン。ヌードも辞さない体当たりの演技が話題となり、常盤が女優としてクローズアップされるきっかけとなった。

今では一流俳優として名を馳せる常盤だが、デビュー時から順風満帆な芸能人生を送ってきたわけではない。

関東学院女子短大在学中の1991年、スターダストプロモーションに自らを売り込み、同事務所に所属するが、原宿の歩行者天国で路上ライブの司会をするなど、下積み生活が続いた。その後も単発的にドラマの脇役やCMの仕事が入るものの、なかなか芽が出なかった。

そんな折、本作の主演のチャンスをつかみ、併せて、同局のお色気系深夜バラエティー番組『殿様のフェロモン』(1993年~1994年)のMCを務める。

そこで常盤は、CM明け、台本に忠実なあまり「ときわ」と、自分の名から読んでしまい、スタジオを爆笑の渦に巻き込む天然エピソードもある。CM女王にして、俳優としてもお堅い役柄が多い現在の彼女しか知らない人にとっては信じられないだろう。

尻上がりに視聴率を上げていった人気ドラマだった本作がなぜ再放送NGとなったのか。

禁止薬物や新興宗教、暴力といったコンプライアンスに配慮したのかといえば、それだけではない。常盤が徐々に主役級の俳優となっていく過程で、“黒歴史”である本作の版権を所属事務所が買い取り「封印」したのだ。

当然、配信もされず、ソフト化も見送られた本作。所属事務所がタレントのイメージを守るために作品を買い取るというレアなケースだと言えるだろう。

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