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才能がヤバい…お笑い芸人が監督した最高の日本映画(3)衝撃の展開…師匠以上に凄まじいセンスを発揮したのは?

軽快なトークで人々を爆笑の渦に巻き込む芸人たち。彼らの中には、肩書きを超越し、絵描き、物書き、アーティストなど、笑いの分野以外でも活躍する者が多く、中には映画監督としての才を発揮する者もいる。彼らの独特な視点には目を見張るものがあることから、今回はお笑い芸人が監督した映画ベスト5を厳選して紹介する!(文・野原まりこ)

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師匠・北野武の意思を受け継いだ映画作り

ダンカン『七人の弔』(2005)

ダンカン
ダンカン公式Xより

監督:ダンカン
脚本:ダンカン
出演:ダンカン、渡辺いっけい、高橋ひとみ、いしのようこ、山崎一、温水洋一、保積ペペ、有薗芳記、山田能龍、水木薫

【作品内容】

七組の親子があるキャンプツアーに参加する。しかし、そこは子供の臓器を売買するための取引場所であった。なぜかいつもより優しい親の態度に不信感を抱いた子供たちは、真相に気づき…。

【注目ポイント】

たけし軍団の一人であるダンカンは、北野武映画にも出演する役者としても活躍しているが、実は映画監督としても隠れた才能の持ち主。

本作のタイトルは黒澤明の映画『七人の侍』をもじっているが、内容は全く別物。児童虐待と人間の卑しい欲望をリアルに映し出している。

とはいうものの、本編はブラックユーモアたっぷりに描かれており、深刻な題材を笑いに昇華している点が見事。師匠・ビートたけし譲りの毒っ気に富んだ人間描写、シリアスな状況を俯瞰して描くことで独特のユーモアを醸し出すセンスによって「明るいサスペンス映画」とも呼べる異色の作品をものにしてみせた。

ダンカンは1998年公開の映画『生きない』では脚本を担当。この作品は、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンに次ぐ規模を誇るロカルノ国際映画祭に出品され、高い評価を受けた。『生きない』『七人の弔』ともに黒澤明の名作のタイトルを巧妙にもじっており、映画史に対する独特のスタンスは、師匠である北野武にはない持ち味だ。

北野武監督からの影響ばかりに目が行きがちだが、90年代後半には黒沢清(『蜘蛛の瞳』)、三池崇史(『DOA DEAD OR ALIVE 犯罪者』)、青山真治(『チンピラ』)など、国際的に高い評価を受ける映画作家の作品に立て続けに出演しており、彼らの現場で培った演出力は本物。

本作を最後に監督作はないが「新作が観たい」と思っている映画ファンは少なくないのではないだろうか。

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