主人公は死んでいる? 意味不明すぎてハマる…最も考察された映画(2)絶望のラスト…少年の眼差しの意味とは?
数々の難解映画の中でも、もっとも考察のしがいがあるSF映画。未だ人類が解明できていないことから、来るかもしれない近未来のことまで、考えるほど沼に入ってしまうSF映画の考察。今回はジャンルをSFだけに絞り、誰もが知っている名作から、SF考察の金字塔まで最高の5本を紹介。世間で考えられている説も解説する。(文・ニャンコ)
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絶望的なラストが意味するものとは
『12モンキーズ』(1995)
上映時間:130分
監督:テリー・ギリアム
脚本:デビッド・ピープルズ ジャネット・ピープルズ
出演者:ブルース・ウィルス、ブラッド・ピット、マデリーン・ストウ、ジョン・セダ、H・マイケル・ウォールズ、ボブ・アドリアン、サイモン・ジョーンズ、キャロル・フローレンス、フランク・ゴーシン、デビット・モース、リサ・ゲイ・ハミルトン、フェリックス・ピール、マット・ロス、ジョセフ・メリト、
【作品内容】
謎のウィルスによって人類のほとんどが死滅した近未来。生き残った人々は汚染された地上を捨て、地下での生活を余儀なくされていた。
科学者たちは1996年にウイルスをばら撒いたとされる集団「12モンキーズ」について探るため、服役中の囚人ジェームズ・コール(ブルース・ウィルス)を過去の世界へと送り込む。
誤って1990年にたどり着いたコールは不審な言動から逮捕され、精神科医キャサリン(マデリーン・ストウ)の立ち会いのもと精神病院に収容される。
そこでジェフリー(ブラッド・ピット)という若い患者に出会い、彼の助けを借りて脱出を図るが……。
【注目ポイント】
本作は実に意味深なラストシーンで幕を閉じている。
空港で犯人であるピーターズ研究員(デヴィッド・モース)を取り逃し、ブルース・ウィルス演じる主人公・コールは警備員に銃で撃たれ絶命する。結果的にピーターズは予定どおり飛行機に搭乗し、世界中に死のウィルスをばら撒くことになってしまうのだ。
映画は、ピーターズが乗った飛行機を、少年時代のコールが見つめているシーンで幕を閉じる。そのため巷では「全てはコールの妄想だったのではないか?」といった考察をする者が後をたたない。
しかし筆者個人的には、「コールの妄想ではなく、未来は変えられず人類は滅ぶ運命であり、少年コールの眼差しは未来への絶望を表している」と考えたい。根拠は以下のとおりだ。
本作でコールは様々な時代にタイムトラベルをしてウィルス拡散を防ごうとするが、結果的に「彼の行動全てがウィルス拡散を手助けしてしまっていた」という見方もできる。
この見立てを採用すると、本作の世界観はパラレルワールドではなく、1つの時間軸しかないことになる。つまるところ、コールがタイムトラベルをしようがしまいが、運命は絶対であり、決して未来を変えることは出来ないということだ。
あまりにも悲劇的な結末である。少年コールの悲しい眼差しは、本作の絶望的な物語を見事に集約しているのだ。
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