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史上最高のTBS日曜劇場ドラマは? 社会現象の超傑作(5)国民熱狂の47.1%…恋愛の神様による衝撃とは?

text by 寺島武志

数々の名作を生み出してきたTBSドラマ「日曜劇場」枠。出演した俳優がことごとく名を揚げることでも知られるが、中には社会現象を巻き起こすほどの名ゼリフ、名シーンが生まれることも。今回は、過去に放送されたTBS「日曜劇場」作品の中から、最も評価の高い5作品を厳選し、作品の魅力とともにご紹介する。(文・寺島武志)

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「日曜劇場」異例の恋愛ドラマも大ヒット

『Beautiful Life~ふたりでいた日々~』

木村拓哉(2009年)
木村拓哉Getty Images

放送期間:2000年1月16日~3月26日
脚本:北川悦吏子
最高視聴率:41.3%
キャスト:木村拓哉、常盤貴子、水野美紀、池内博之、原千晶、西川貴教、的場浩司、渡部篤郎、モロ師岡、小雪

【作品内容】

腕はあるが人気のない美容師・沖島柊二(木村拓哉)と、病に侵され車椅子で生活する図書館司書・町田杏子(常盤貴子)の出会いと別れを描いた、切ないラブストーリー。

【注目ポイント】

脚本は“恋愛の神様”ことヒットメーカーの北川悦吏子だ。

前評判を裏切らない展開を見せ、平均視聴率32.3%、最終回に記録した最高視聴率は41.3%、その中での瞬間最高視聴率は、なんと47.1%だ。平均視聴率では、現在に至るまで「日曜劇場」枠1位の座をキープし続けている。

ドラマの影響で、木村と常盤が乗ったオートバイ、ヤマハ・TW200や、車椅子のオーエックスの売り上げが増加し、放送年の2000年の美容師志望率が例年より2割上がったとさえいわれている。

そして、何と言ってもこの作品が社会に残したのは、「バリアフリー」という言葉や概念を広めたことだろう。

柊二が勤務する美容院の倒産、そして杏子の死という結末を迎えることから、単なるラブストーリーの枠を超えた、社会的な要素も盛り込まれ、日曜劇場では珍しい恋愛ドラマでありながら、絶大な支持を受ける結果につながった。

関連書籍も売り上げを伸ばした反面、続編は製作されなかった。しかし 2023年1月、TBS系『さんま・玉緒のお年玉あんたの夢をかなえたろかスペシャル』の企画で、青森で美容院を営む男性へのサプライズとして、本作で主演を務めた木村の提案により『Beautiful Life 特別編』と題したスペシャルドラマが製作された。番組内の企画としてではあるものの本作が23年ぶりに復活することになる。

番組ではドラマの舞台となった柊二の勤務先の美容室「HOT LIP」のセットを、実際の設計図をもとにTBS社屋内に約1,000万円をかけ再現。さらに北川がこの企画のためだけに新たに台本を執筆。

木村のほか原千晶、池内博之、西川貴教が再び集結し、監督は当時演出担当だった土井裕泰(映画『花束みたいな恋をした』)が務めるという、バラエティー番組の1コーナー、加えて一般人へのサプライズとしては異例ともいえる規模で撮影された。

同ドラマでは企画のターゲットとなった男性が「HOT LIP」店長役、その妻が女性客役として登場。仕掛け人である妻への逆サプライズという形で夫が妻の髪を切る様子を、B’zによる主題歌「今夜月の見える丘に」をBGMに木村ら出演者が後方から見守るという、現実とドラマの世界観をリンクさせた演出が行われた。

撮影終了後、木村の粋な計らいによって、セットの一部として使用されていた赤いソファーが夫妻にプレゼントされた。

放送から20年以上もの月日が経ったにも関わらず、こうした企画が実現に至るなんて。このエピソードは、本作が名作であることを証明しているのではないだろうか。

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