後世のSF映画に影響を与えた不朽の名作
主人公の正体をめぐって議論が紛糾
『ブレードランナー』(1982)

上映時間:116分
監督:リドリー・スコット
脚本:ハンプトン・ファンチャー、デビッド・ウェッブ・ピープルズ
原作:フィリップ・K・ディック
キャスト:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウワー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、ブライオン・ジェームズ、ジョアンナ・キャシディ、M・エメット・ウォルシュ、ウィリアム・サンダーソン、ジョー・ターケル、ジェームズ・ホン、モーガン・ホール
【作品内容】
科学技術の進歩により、タイレル社は、体力・知力共に普通の人間よりも優れる“レプリカント”という人造人間の開発に成功した。
環境汚染により酸性雨が降る21世紀の地球で、人類の多くは宇宙の植民地に移住する中、レプリカントは宇宙開拓の前線で危険な任務に当たっていた。しかし、開発から数年後、レプリカントに感情が芽生えると、人間に反逆するようになり…。
【注目ポイント】
本作には、1982年の公開当時に描かれた未来のイメージが、現代においてどの程度的中しているのか考察する楽しみがある。
特に人工生命体であるレプリカントの存在は、AI技術の発展が目覚ましい現代においてリアリティがあり、近い将来に本作のような出来事が現実世界にも起こり得るということを否が応でも感じさせる。
そんな本作は、レプリカントと反乱したレプリカントの対処にあたる専任捜査官(ブレードランナー)との関係、そしてレプリカントのアイデンティティの構築が主な考察ポイントである。
異なる存在であるレプリカントとブレードランナーが、お互いをどう理解していくのか? 宿命づけられた対立構造からどう抜け出すのか?
種族の壁を越えて愛し合う主人公・デッカード(ハリソン・フォード)とレイチェルの存在も、本作を単なるSF映画ではなく、一流のラブロマンスにしている。
中でも最大の考察ポイントは、デッカードの正体である。実は彼はレプリカントなのではないか? との考察が繰り広げられているのだ。というのも、リドリー・スコット監督が「デッカードはレプリカント」だと公言しているからだ。
とはいえ、デッカードの言動は、レプリカントにしては行動や所作があまりにも人間的過ぎる。また、レプリカントであるデッカードがレプリカントを取り締まるという前提には、やはり若干の違和感を感じるのも事実。
真相は今でも不明だが、本作が突きつける謎は公開から40年以上経った現在に至るまでファンを魅了し続けている。