映画『ファーストキス』評価&考察レビュー。なぜ松村北斗の演技は感情移入しやすいのか? 凄味を増した芝居の魅力とは? 【ネタバレ】
text by まっつ
『花束みたいな恋をした』(2021)の坂元裕二が、塚原あゆ子監督との初タッグを組んだ映画『ファーストキス 1ST KISS』が公開中だ。妻がタイムスリップして若き日の夫ともう一度恋をするラブストーリー。今回は、松村北斗の魅力を掘り下げるレビューをお届け。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
松村北斗がすごすぎる…。
執筆業をやっていると、たまに書きたくてたまらないというときが訪れる。
これを伝えなければ…この人のことを知ってほしい…など動機は様々だが、そんな瞬間と出会えることは大きな幸せだ。
映画『ファーストキス 1ST KISS』(以下、『ファーストキス』と表記)を鑑賞すると、そんな気持ちでいっぱいになった。記事を書く必要がないにせよ、きっと多くの人が近い感情を抱いたのではないだろうか。
松村北斗がすごすぎる、と。
昨年に公開された映画『夜明けのすべて』(2024)で彼の俳優としてのとてつもないポテンシャルを理解していたはずなのに、映画館を出た後に感嘆の声を上げずにはいられなかった。
『ファーストキス』は、脚本が『花束みたいな恋をした』の坂元裕二、監督は『ラストマイル』(2024)の塚原あゆ子と、業界を代表する2人がタッグを組み、タイムトラベルを中心に物語が展開していく。
舞台美術の仕事をしている主人公・硯カンナ(松たか子)は、事故で亡くなる夫の駈(松村北斗)を救うためタイムトラベルに幾度も挑戦していく。行けるのは、決まって15年前の夏。過去に与えたことが現在にまで影響し、「未来は変えられる」ことを教えてくれるラブストーリーとなっている。