『わたしの宝物』と『さよならのつづき』の意外な共通点とは? 2024年の話題作が繰り返し描くシチュエーションを徹底解説
text by 小林久乃
フジテレビ系で放送中のドラマ『わたしの宝物』、Netflixで配信中の『さよならのつづき』、そして絶賛公開中の映画『室井慎次 生き続ける者』。一見関連性が見出せない3つの作品にはとある共通点がある。そう、いずれの作品においても、「図書館」が重要な役割を果たしているのだ。「ドラマや映画ではなぜ図書室で恋愛が生まれやすいのか」をテーマにしたコラムをお届けする。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は
2024年に話題を集めた作品の共通点としての図書館
365日、ドラマや映画を追い続けるオタクの私にふと疑問がわいた。
「なぜ、ラブストーリーは図書館のシーンが多いのか。もっと言えば図書館で恋が始まるのか」
例えば現在放送中の『わたしの宝物』(フジテレビ系)。神崎美羽(松本若菜)と冬月稜(深澤辰哉/Snow Man)が学生時代に交流を深めていたのは、図書室。そしてふたりが再会をしたのもまた図書室。
現在配信中のドラマ『さよならのつづき』(Netflix)では、豪雨で大学に宿泊した菅原さえ子(有村架純)が目覚めると、成瀬和正(坂口健太郎)が朝起こしに来るというシーンもありました。あれは完全に恋愛の濃度が上がっていたはず。『恋愛バトルロワイヤル』(Netflix)でも恋愛関係にある教師と生徒が図書室で密会していた。
公開中の映画『室井慎次 生き続ける者』でも森貴仁(斉藤潤)の初恋が、学校の図書室で終わっていた。古い記憶を反芻していくと(個人的に)不朽の名作ドラマ『魔女の条件』(TBS系・1999年)で、教師の広瀬未知(松嶋菜々子)と、生徒の黒澤光(滝沢秀明)が初めて結ばれたのは学校の図書室! カーテンと毛布代わりにしたシーンが本当に素晴らしかった…し、他にも映画『君の膵臓をたべたい』もそうだし…とカウントを始めると、枚挙にいとまがない。これはなぜ?