史上最高のサスペンス映画は? 世紀の傑作5選。これぞ金字塔…スリルと興奮が味わえる珠玉の作品をセレクト
怖いもの見たさでなぜか惹かれてしまうサスペンス映画。趣向を凝らした仕掛けや刺激的な映像表現は、人間の本能的な欲求を満たしてくれる。たまには全てを忘れて、映画を観ることでしか得られないスリルや興奮を堪能したい時もある。そこで今回は、サスペンスの傑作・洋画編をご紹介する。(文・阿部早苗)
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【著者プロフィール:阿部早苗】
神奈川県横浜市出身、仙台在住。自身の幼少期を綴ったエッセイをきっかけにライターデビュー。東日本大震災時の企業活動記事、プレママ向けフリーペーパー、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、洋画専門サイト、地元グルメライターの経験を経て現在はWEB媒体のニュースライターを担当。好きな映画ジャンルは、洋画邦画問わず、社会派、サスペンス、実話映画が中心。
映画史に残る胸糞悪いラストは必見
『セブン』(1995)
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
出演者:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、R・リー・アーメイ、ケヴィン・スペイシー
【作品内容】
退職間近のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と新米刑事のミルズ(ブラッド・ピット)は、スパゲッティに顔を突っ込んだ状態で見つかった死体を発端にした、猟奇殺人事件の調査に乗り出すことに。
連続殺人事件を追うことになる。現場に残されたヒントをもとに事件の真相に迫るが…。
【注目ポイント】
これまで数々の話題作を手掛けてきたデヴィッド・フィンチャー監督。彼の代表作の一つでもある『セブン』(1995)は、彼のキャリアにおいて転機となった作品だ。また、モーガン・フリーマン&ブラッド・ピットの名バディもさることながら、猟奇殺人犯を見事に演じたケビン・スペイシーの身の毛がよだつ怪演ぶりは、公開以来、数多の映画ファンを魅了してきた。
モーガン・フリーマン演じるサマセットは退職の日まで7日と迫っていたある日、スパゲッティに顔を入れた状態で死亡している肥満男性の事件をミルズとともに担当する。被害者は気絶するほど無理矢理食べさせられ、後に暴行を受けていた。その後、冷蔵庫の裏から英語で(大食)と書かれたメッセージを見つける。
本作の最大の特徴は、事件そのものが「七つの大罪」をテーマに展開するところだ。
Gluttony(暴食)、Greed(強欲)、Sloth(怠惰)などといったキリスト教において罪の根源といわれている7つ罪が次々と残酷な方法で再現され、先の読めない展開は凡百のサスペンス映画とは一線を画している。
また、犯行現場の痕跡だけが示され、犯人の意図や動機が全く掴めないところも恐ろしい。この「見えない敵」との戦いに挑む冷静なベテラン刑事のサマセットと感情的なミルズが協力して事件解決に挑む姿もまた、ラストまで目が離せない要因の一つといえるだろう。
映画のクライマックスでは犯人が自ら出頭する。しかし、犯行のすべてを緻密に計画している彼は最後まで警察を翻弄し、彼の意図する「最終章」へと突入する。一切の予測を裏切るラストシーンは、映画史に残る名場面と言っても過言ではないだろう。