観月ありさ”井伏愁”の悲しすぎる過去とは? ドラマ『オクラ~迷宮入り捜査~』第9話レビュー。突如浮上した黒幕候補を考察
火9ドラマ『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』(フジテレビ系)が放送中だ。反町隆史演じる人情味のある“昭和刑事”と、杉野遥亮演じるクールな“令和刑事”が風化寸前の事件を追うヒューマンミステリーエンターテインメント。今回は、第9話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
極秘指名部隊「HIDE&SEEK」の現場に臨む第9話
「俺たちが思い描いていた警察って、何だったんだろうな」
クライマックスが近づく『オクラ~迷宮入り事件捜査~』第9話。次々と警察内部の蛮行が突き止められるなか、志熊亨(有澤樟太郎)が口にしたセリフがやけに心に響いてくる。
結城倫子(白石麻衣)を犯人に仕立て上げ、警察官連続爆破事件の実行犯・井伏愁(観月ありさ)をおびきよせた飛鷹千寿(反町隆史)。愁は自責の念に駆られ、必ず現れる。そう信じる飛鷹をみていると、愁と過ごした10年という月日の重みがしみじみと伝わってくる。飛鷹に正体を知られた愁の表情は、どこか清々しく、ホッとしたようにも見えたのが印象的だった。
そんな彼女の口から語られたのは、「HIDE&SEEK」と呼ばれる部署のこと。
「HIDE&SEEK」は未解決事件が記されたファイル名であるとともに、極秘任務の実行部隊を指していた。誰が指示をしているのかも、誰が仲間なのかもわからない。ただそれぞれにミッションが与えられるだけというその場所は、かなり異様な雰囲気を醸し出していた。「HIDE&SEEK」の一員として任務を遂行した愁は、自らを感情が欠落した人間だったと顧みる。
当時、親とは疎遠、恋人や友人もいなかったため、上層部にとって都合のいい人間に映ってしまった愁。公安へ移動後、僻地の訓練場で爆弾のスペシャリストに育て上げられた彼女は、のちに「東京シンフォニーホール爆破事件」(第3話)に関わることになる。直接的ではないものの、愁の行いが牧原祈里(青木さやか)の夫の死のきっかけになった事実に衝撃を受けずにはいられない。