クイズ作家が選ぶ、史上最もIQ・知能指数が高い映画キャラ(2)突出した記憶力…静かで力強いラストシーンは?
高知能のキャラクターは、いまや映画・ドラマの定番ともいえる。本コラムでは、数ある高知能キャラのなかでも、特に魅力的な面々が登場する作品を5本セレクト。めくるめく頭脳戦やほろりとさせる人間関係など、作品の見どころと併せて紹介する。(文・近藤仁美)
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静かで力強いラストシーンに心が温かくなる
『レインマン』(1988)
監督:バリー・レヴィンソン
脚本:バリー・モロー、ロン・バス
出演:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ヴァレリア・ゴリノ他
【作品内容】
自己中心的なビジネスマン・チャーリーは、父親が亡くなったことをきっかけに、複数の障がいをもつ兄レイモンドに出会った。父の遺産を目当てにレイモンドを施設から連れ出し、様々なマイ・ルールがある兄にペースを乱されつつ、ロサンゼルスに向かうが…。
【注目ポイント】
本作の登場人物・レイモンドは、突出した記憶力を有する一方、一定の行動パターンに強い関心をもつ。サヴァン症候群にあたるとされ、知能指数は高いが自分の感情や周囲との関係をよく理解できていないといわれるが、そんな兄に出会った弟・チャーリーは、短気な性格も相まってイライラと冷たくあたる。
レイモンドとチャーリーの奇妙な旅路では、チャーリーが少しずつ兄への理解を深めていく様が丁寧に描かれる。今まで初対面だと思っていた兄とは、実は幼いころ一緒に過ごしており、兄は自分のために施設に入った…そう気づくと、幼いころの思い出とともに兄への愛着が湧いてくる。
『レインマン』はサヴァン症候群に対する理解を社会に広めたといわれるが、エンターテインメントとしても出色の作品である。チャーリーが兄の能力を利用してカジノで大儲け、兄弟でダンスをしてみるなど、爽快かつ印象に残るシーンが多数ある。
そして忘れられないのが、心が通ったと思えても、レイモンドを大切に思うからこそ一緒に暮らすことはできないという、チャーリーの切なさだ。レイモンドの症状や日々のルーティーンを思えば、一緒に暮らしたくても施設に返すのが最適だった。静かで力強いラストシーンには、じんわりとした趣がある。
【著者プロフィール:近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強~知らないとヤバい事~』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。2023年、「Trivia Hall ofFame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。
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