ラストシーンは第1話冒頭を彷彿とさせる? まひろ&道長の「因果応報」な結末とは? NHK大河ドラマ『光る君へ』最終話考察
text by 苫とり子
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)が幕を閉じた。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。幼少の出会いから約半世紀、強固な絆で結ばれたまひろと道長に、遂に今生の別れが訪れる。今回は、最終話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
まひろ(吉高由里子)の波乱に満ちた物語が終幕
平安時代に、千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を書き上げた“紫式部”こと、まひろ(吉高由里子)の生涯を描く『光る君へ』が幕を閉じた。
最終回冒頭、まひろは倫子(黒木華)に道長(柄本佑)とのこれまでについて語る。私たちがこの1年間、観てきた物語を読み聞かせるように。「初めてお目にかかったのは9つの時でした」という語り出しに、倫子の表情に動揺が見られた。思いもよらなかったのだろう、まさか2人の出会いが約半世紀も前に遡るなんて。
まひろは飼っていた小鳥が逃げたのを追って町に出た先で、当時、三郎と名乗っていた道長に出会った。2人はすぐに惹かれ合うも、残酷な運命によって引き裂かれる。
道長の兄である道兼(玉置玲央)にまひろの母・ちやは(国仲涼子)が殺されるという衝撃的な幕開けとなった本作。貴族文化が花開いた平和な時代が描かれると思っていたら、いきなりの血なまぐさい展開に虚をつかれた視聴者も多かったのではないだろうか。
だが、それこそ脚本家の大石静が描きたかったことのような気がする。大石が制作発表記者会見で語っていた「セックス&バイオレンス」というワードが物語るように、まひろが生きた時代は、男たちが刀や槍を手に争わない代わりに、己の頭脳を持って朝廷で激しい権力闘争を繰り広げ、女たちは権勢を握るための道具として扱われ、人々の心は平和とは程遠いところにあった。