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めっぽう楽しめるけど…鑑賞後、神妙な気持ちになった理由とは? 実写映画『はたらく細胞』評価&考察レビュー

text by 小林久乃

人間の体内の細胞を擬人化して話題を呼んだ清水茜の人気漫画を、『翔んで埼玉』(2019)の武内英樹監督が映画化した『はたらく細胞』が公開中だ。今回は今までにないユニークなコメディである本作の見どころを解説する。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら

現代人に警鐘を鳴らす今までになかったコメディ

『はたらく細胞』
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会

 恐ろしいことに40歳を越えると、朝起きて絶好調という日が極端に少なくなる。老化というものを感じながらも過信を繰り返し、はたらき、遊ぶ。映画『はたらく細胞』はそんな自堕落な大人にこそ観てほしい、無病息災への気づきが詰まった作品だ。

 映画の舞台は人間の体内と、父子家庭の漆崎家。真面目で健康的な生活を送る、娘の日胡(芦田愛菜)の体内は37兆個の細胞が活き活きとはたらいている。対するように父の茂(阿部サダヲ)の体内は、細胞にとってブラック企業。体に良くない嗜好品をこよなく愛する茂の生活習慣は細胞たちを苦しませていた。

 そんなある日、日胡の体調に異変が起きてしまう。細胞たちは穏やかだった日々を取り戻すため必死にはたらき、健康を取り戻そうする……と、真剣な雰囲気の文調であらすじを書いているが、本作はれっきとしたコメディだ。

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