高視聴率でも地上波NG? テレビで放映されなくなった映画(1)おかしくなった遊女の叫びがヤバい…過激な傑作
『不適切にもほどがある!』(TBS系)は、バブル期からタイムスリップした主人公を通して現代社会を皮肉るドラマだった。とはいえ、実際に当時の番組を見ると「これを地上波で?」と心配になる番組も。今回は、かつては地上波で頻繁に放送されていたものの、コンプラの波で放送できなくなったであろう映画5本を紹介する。第1回。(文・編集部)
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「お願いだから噛んで〜!!」
女優たちの熱演が光る五社英雄の集大成
『吉原炎上』(1987)
監督:五社英雄
脚本:中島貞夫
原作:斎藤真一
キャスト:名取裕子、かたせ梨乃、二宮さよ子、藤真利子、仁支川峰子、山村聰、佐々木すみ江、園佳也子、速水典子、左とん平、岸部一徳、ビートきよし、井上純一、益岡徹、河原崎長一郎、成田三樹夫、竹中直人、中島葵、大村崑、緒形拳、光石研、山本清、宮城幸生、木下通博、大槻知之、タンクロー、伊織祐未、野村真美、小林稔侍、根津甚八、岸田今日子
【作品内容】
時は明治。浅草の一角にある吉原遊廓では、借金のカタに売られた娘たちが、六年の年季が明けるまで春を売って暮らしていた。
この遊郭の中梅楼に、18歳の久乃が遊女として売られてくる。娼妓営業の鑑札が下り、「若汐」の源氏名をもらった久乃(名取裕子)。しかし、初見世で客のもとを飛び出してしまう。
これに怒った花魁筆頭格のお職の九重(二宮さよ子)は、自らの身体を使って久乃に廓の女としての作法をたたきこむが…。
【注目ポイント】
『鬼龍院花子の生涯』(1982)、『極道の妻たち』(1986)と、一貫して「自立した強い女性」を描き続けてきた五社英雄。そんな彼の集大成ともいうべき作品が、1987年の『吉原炎上』だ。
本作は、斎藤真一の著書『絵草紙 吉原炎上 祖母紫遊女ものがたり』を原作に、明治時代の遊郭に生きる女性の生き様を描いた作品。キャストには名取裕子のほか、二宮さよ子、西川峰子(現:仁支川峰子)、藤真利子、かたせ梨乃らが名を連ねる。
有名女優のヌードをいとわない演技が大きな話題を呼んだ本作。序盤の久乃と九重による女性同士の艶めかしいカラミをはじめ、濡れ場が至る所に散りばめられている。
そして、なんといっても強烈なのが、「秋の章」のラストを飾る小花(仁支川峰子)の最期だろう。
積年の不摂生がたたって病気になり、遊女を引退した小花だったが、程なくして吉原に戻ってくる。しかし、彼女のポジションは、すでに久乃に奪われていた。
嫉妬で暴れた小花は、そのまま布団部屋に監禁される。そして、波打つ布団の上で乳房を振り乱しながら、半狂乱になって叫ぶのだ。
「噛んで! ここ噛んで~! 噛んでよお~! お願いだからここ噛んで~!!」
あまりにもショッキングなこのシーン。子どもの頃に見ると一生脳裏に焼きつくこと間違い無いだろう。
さて、そんな本作だが、『日曜洋画劇場』や深夜の映画番組枠で複数回放送されており、いずれも高視聴率を記録している。お茶の間の家族団欒で「噛んで~!!」の応酬を目の当たりにして、気まずい思いをした人は少なくないのではなかろうか。
(文・編集部)
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