これほどまでに温かいドラマがあっただろうか…『放課後カルテ』 最終話で思わず頬を緩めたシーンとは? 考察レビュー
text by まっつ
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が完結を迎えた。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンドラマ。今回は最終話のレビューをお届けする。(文·まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
——————————
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
『放課後カルテ』が視聴者に届けた熱意
これほどまでに温かいドラマがあっただろうか。
『放課後カルテ』(日本テレビ系)はドラマでありながら、ずっと嘘がなかった。
小学校の保健室が舞台となった作品で、子供たちの病気が丁寧に描かれる。睡眠障害から気胸、精神疾患、さらには場面緘黙まであり、小学生が抱えている症状というのも相まって、なかなか見るのが辛い側面もあった。しかし、制作側は決してこれらの説明を軽んじることはなかった。
第2話では冴島啓(岡本望来)のAED使用のシーンを長回しで使い、6年2組の生徒・水本羽菜(小西希帆)の精神疾患に関しても4、5話を通して扱われている。いずれも多くの人に情報が届いてほしいという熱意が伝わってきた。
さらに、印象的だったのが症状の経過。『放課後カルテ』は医師や患者が登場するので、一応は「医療ドラマ」(学園ドラマの側面も強いが)とカテゴライズすることもできるかもしれない。しかし、多くの医療ドラマのように「病気が治って、はい解決」とはならない。