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日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』で最も演技が良かったキャストは? 余韻が残る神演技を解説。ドラマ史に名を刻んだ役者は?

text by かんそう

ドラマ『海に眠るダイヤモンド』が、12月22日に最終回を迎えた。青春ドラマでもあり、ミステリーでもあり、社会ドラマでもある。一言では括れない、非常に特殊な作品だった。単純なトレンドや視聴率だけでは語ることができないこのドラマの魅力を、特に印象に残ったキャスト7人を振り返りながら改めて語っていきたい。(文・かんそう)

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【著者プロフィール:かんそう】

2014年から、はてなブログにてカルチャーブログ「kansou」を運営。記事数は1000超、累計5000万アクセス。読者登録数は全はてなブログ内で6位の多さを誇る。クイック・ジャパン ウェブ、リアルサウンド テックなどの媒体でライター活動を行うほか、TBSラジオで初の冠番組『かんそうの感想フリースタイル』のパーソナリティも務め、2024年5月に初書籍『書けないんじゃない、考えてないだけ。』を出版した。

一人二役どころではない演技の振り幅

神木隆之介

『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』最終話 ©TBSスパークル/TBS

 端島で明るく真っ直ぐに生きる青年・鉄平、そして現代で東京でホストとして働きながら死んだように生きる男・玲央の一人二役を演じた神木隆之介。「一人二役」と言葉にするのは簡単だが、実際に「別人」を演じるのは並大抵なことではない。

 目の肥えた視聴者にとっては、一役を演じるだけでもそこに「中の人」を感じてしまった瞬間に冷めてしまう。しかし神木隆之介は完璧に演じ分けた。単に見た目や喋り方の違いではない、その役を纏っている「空気」が全くの別人のものだったのだ。

 それは31歳という若さにも関わらず、圧倒的なキャリアを誇る神木隆之介の演技の「厚み」によるものだろう。鉄平の真っ直ぐさ、玲央の軽さ、まさに正反対な二人の人間を神木隆之介はありえないほど自然に横断する。しかもただ、演じるわけではない。

 鉄平はともかく玲央は“変化”する役どころだ。いづみを通して端島の歴史に触れ、少しずつその人生観が変化していく。ぜひ1話の玲央、5話の玲央、最終回の玲央それぞれの顔つきや言葉を比べて見てもらいたい。一人二役どころではない、一人三役、一人四役を演じた神木隆之介の凄さに恐怖すら感じた。

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