史上最高の『相棒』スペシャル回は? 最も面白い神回(5)怨念が恐ろしい…一世一代の名演技で魅せた女優は?
ドラマ『相棒』が元日SPをやっている事を知っているだろうか。『相棒』ではSeason4から現在のseason23まで19年以上正月の夜に放送されている。2時間以上の放送尺、正月の特別枠という事で例年気合いが入った物語が展開されており、見応えのある作品も多い。今回はその中でも評価の高い5本とその見所を紹介しよう。第5回。(文・naoki)
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season22『サイレント・タトゥ』(2024)
小手鞠「男は女を恨み、女は女を怨む」
収監中である3代目“相棒”甲斐享(カイト)。その息子が主演の学芸会に招かれた特命係。しかし劇中に担任である姉小路が刺殺される事件が発生する。
元婚約者であった志津子が犯人としてあっさり捕まるも、彼女はカイトの妻である悦子との面会を希望する。姉小路は悦子の夫が甲斐享と知り「バラされたくなければ…」と関係を迫っており、その最中で志津子は婚約解消されていたのである。
志津子も悦子の夫が甲斐享と分かっており、獄中から悦子に脅迫のように無理難題を要求する。その果てに悦子は志津子の策略にハマり、東国でスパイ容疑をかけられ当局に拘束されてしまう。悦子を救う為に特命係、捜査一課、美和子、峯秋、社など『相棒』オールスターが全総力を尽くす。
本作はファン垂涎のサービス過多なお祭り回だ。
右京により逮捕された甲斐享のその後が9年ぶりに描かれ、そこに悦子だけでなく息子の結平と兄の秋徳まで登場した。結平に対して大らかな祖父に近い振る舞いをする杉下右京。そして、相棒であり愛弟子でありながら自ら引導を渡す事になった甲斐享が、悦子と結平の為に命懸けで悦子を救おうとする姿は純粋にカッコいい。また他国の警察と戦い日本大使館を目指すという『VIVANT』(2023)を連想させる王道の展開はあまりにも熱い。
本作を描いた輿水泰弘氏は言わずと知れた『相棒』の産みの親で、杉下右京というキャラクターを通じて、人間という複雑怪奇な生き物の魅力を物語として紡いできた。本作で特筆すべきは犯人の志津子の怨念だ。古くから女性の恐ろしさを多く描いてきた輿水氏の真骨頂を女優の美村里江が巧みな技量で演じきった。
(文・naoki)
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【了】