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背筋がゾッとする…史上最高のオカルト系ドラマは?(1)後味の悪いエンディングも…中毒性がヤバい不朽の名作

text by 西本沙織

限りなくリアルを追求したドラマ作品も素晴らしいが、フィクションならではストーリー展開で、視聴者の胸を熱くさせる名作も多い。そこで今回は、”オカルト”をテーマにしたドラマの中から、近年でも特にオススメの作品を5本セレクト。非日常の世界観に思わず引き込まれる珠玉の作品をご紹介する。第1回。(文・西本沙織)

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巨匠・堤幸彦監督の不朽名作ドラマ

『TRICK』(2000〜2014)

女優の仲間由紀恵
仲間由紀恵【Getty Images】

監督:堤幸彦、保母浩章、大根仁、木村ひさし、鬼頭理三、丸毛典子
脚本:蒔田光治、林誠人、太田愛、福田卓郎
出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、前原一輝、姜暢雄、池田鉄洋、大島蓉子

【作品内容】

 売れないマジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)は、唯一の収入源だった見世物小屋をクビになる。困り果てた奈緒子に支配人が見せたのは、若手物理学者・上田次郎(阿部寛)が雑誌に掲載した「霊能力者たちへの挑戦状」の記事だった。「私の目の前で、超能力者であると証明できたら賞金を支払います」金欠だった奈緒子は上田の研究室を訪れ、賞金を得るべく得意のマジックを披露。

 奈緒子を本物の超能力者だと信じた上田は、“本物のテスト”と称してある依頼をする。それは、カルト集団「母之泉」の教祖“ビッグマザー”のインチキを暴いてほしいというものだった…。

【注目ポイント】

「お前のやったことは、全部お見通しだ!」の決め台詞でお馴染みの、超常現象を扱ったミステリードラマ『TRICK』(テレビ朝日系)。同じく堤幸彦監督作品である『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010、TBS系)と迷ったが、よりオカルト風味の強い本作を推薦したい。

 1990年代は「第二次オカルトブーム」と呼ばれ、怪談や都市伝説が大流行。1999年には「ノストラダムスの大予言」が空振りし、その翌年2000年に放送開始されたのがインチキ霊媒師の“トリック”を解き明かしていく内容の本作だった。

 消失現象や呪い、透視能力などをテーマに、奈緒子と上田の凸凹コンビの活躍が描かれる。能力や事件のほとんどは科学的に証明できる、タネのある胡散臭さ満点のペテン。だが、ごく稀に“本物”を示唆する話があり、その曖昧さが醍醐味でもある。

 シュールなギャグや、奈緒子&上田バディのコミカルな掛け合い。それとは対照的な作品から滲み出る陰鬱とした雰囲気や、後味の悪いエンディング。そのギャップは、何度でも観てしまう中毒性がある。

 とくに、シリーズ第1作目は原点ともあって、傑作が揃っている。なかでも、霊能力で殺人を犯す「パントマイムで人を殺す女」(第6話、第7話)、特別な力を持つ少年が死を宣告する「天罰を下す子」(第8話、第9話)は、奇妙さ、ほどよいユーモア、やりきれなさが入り混じる、指折りのエピソードだ。

「オカルトドラマといえば?」と聞かれたら、『TRICK』が最初に浮かぶ人も多いのではないだろうか。オカルト謎解きドラマとして独自の世界観を築いてきた本作は、時代が令和になっても変わらない、不屈の名作ドラマである。

(文・西本沙織)

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【了】

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