民放ドラマ「ベスト主演女優」は? 最も演技が良かった役者(4)圧巻の実力で評価急上昇…嫌味のない芝居の凄み
2024年も名作ドラマが誕生した。ここ数年、各局がこぞってヒット作を生み出そうとしている熱意は、役者陣のパフォーマンスを充実させ、画面を通しても視聴者へと伝わる。そこで今回は、2024年のドラマでとりわけ素晴らしい演技を披露した“主演女優”を5人セレクト。それぞれの芝居の魅力を紹介する。第4回。(文・苫とり子)
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心の機微を丁寧に掬い上げる
松本若菜『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)
2024年最も活躍した女性俳優といえば、松本若菜ではないだろうか。実際、ORICON NEWSが発表した「2024年ブレイク俳優ランキング(女性編)」でも1位に輝いている。比較的には遅咲きで、30代前半まで俳優の仕事以外でアルバイトをしていたという松本。そんな彼女は今年、2本のドラマで主演を飾った。
7月期放送の『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)で演じたのは、アプリ制作会社でバリバリ働き、プライベートでは徹底した家事ゼロ生活を送る38歳の独身女性・西園寺さん。
本作が放送されたTBS“火曜ドラマ枠”は若年層の女性をターゲットにしており、ヒロインも20代〜30代の俳優が演じることが多く、40代の松本が演じるのは異例といえば異例かもしれない。だけど、それが逆に功を奏したように思う。
仕事にも恋にも、全力で挑む西園寺さんはその頑張りが空回りすることもあるが、全く痛々しさを感じなかった。それどころかチャーミングで、なおかつ嫌味のない、誰からも愛されるキャラクターになっていたのは松本の実力に他ならない。
続く、10月期放送の『わたしの宝物』(フジテレビ系)でも主演を務めた松本本作で演じた美羽は夫以外の男性との間にできた子供を夫の子と偽って育てる専業主婦という、視聴者から嫌われてもおかしくない役どころだ。
しかし、『やんごとなき一族』(フジテレビ系)や『復讐の未亡人』(テレビ東京系)で強烈な悪女を演じてきた松本は、同じ悪女は悪女でも心の機微を丁寧に掬い上げる演技で、美羽を共感可能な人物にしていた。どんな作風、あるいはどんな役柄にも対応できる松本の芝居はもはや職人芸だと思う。
(文・苫とり子)
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