絶望感が半端ない…。「冤罪」をテーマにした海外映画の傑作(1)意外な結末に鳥肌…死刑執行後に明かされた真実
身に覚えのない罪を被せられ、投獄される恐ろしさを想像したことがあるだろうか。無罪を主張する声が、差別や偏見、権力などに押しつぶされていく絶望感…。平凡な人生がいかに大切かを考えずにはいられない。今回は、冤罪をテーマにした映画を5本セレクトしてご紹介する。(文・シモ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003)
監督:アラン・パーカー
脚本:チャールズ・ランドルフ
出演:ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット
【作品内容】
頭脳明晰な大学教授デビット・ゲイル(ケビン・スペイシー)。元同僚の女性に性的暴行を加え殺害した罪で服役しているデビットに、死刑判決が下された。
彼は自分の手記を出版してもらうため、女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)を刑務所に呼び出し、無実を主張する。ビッツィーはデビッドに真相を聞きだすうちに、「彼が冤罪なのでは?」と疑問をもちはじめるが…。
【注目ポイント】
本作は、名匠アラン・パーカー監督が、冤罪をテーマにした作品である。
大学の哲学教授で死刑反対運動の活動家・デビッドに、死刑が宣告される。同じ大学の同僚で死刑反対運動の同志でもあるコンスタンス(ローラ・リニー)に、性的暴行を加え殺害した罪だ。その殺人は、本当なのか?冤罪ではないのか?死刑の判断は正しかったのか?
物語には、その疑問を解消する伏線がちりばめられている。
例えば、コンスティンが白血病にかかっていると知らされたデビッドが、彼女と一夜を共にするシーンだ。コンスティンはデビッドに、「とても疲れたわ。お願い助けて」と意味深な発言をしている。
また、女性記者ビッツィーとの最後の面会でデビッドは、「僕は何のために死ぬのか?」と発言しているシーンも意味深だ。
最終的にデビッドの死刑は、執行されてしまう。
そして、真犯人がもう一人の活動家ダスティーと判明し、マスコミはこぞってデビッドが冤罪により死に至ったと騒ぎ立てるのだ。
しかし、冤罪への疑問は、ビッツィーに送られてきたビデオで明かされる。
コンスティン自らが死を偽装する様子、その手助けをするダスティー、ことが終わったあとに彼女の死を確認するデビッドの姿を映したビデオである。
コンスティンの死は、3人による計画的な偽装殺人だったのだ。
デビッドは白血病で余命幾ばくもないコンスティンのために、あえて殺人の罪を被り、冤罪による死刑の被害を身をもって証明したのではないか?
女性記者ビッツィーは、デビッドに利用されていただけなのかもしれない。
そんな疑問を残して終わるラストとなっている。
(文・シモ)
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【了】