民放ドラマ「ベスト主演女優」は? 最も演技が良かった役者(5)圧倒的な貫禄…無言で際立つ芝居の上手さ
2024年も名作ドラマが誕生した。ここ数年、各局がこぞってヒット作を生み出そうとしている熱意は、役者陣のパフォーマンスを充実させ、画面を通しても視聴者へと伝わる。そこで今回は、2024年のドラマでとりわけ素晴らしい演技を披露した“主演女優”を5人セレクト。それぞれの芝居の魅力を紹介する。第5回。(文・苫とり子)
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明るく親しみやすい雰囲気で役を躍動させる
吉高由里子『光る君へ』(NHK総合)
大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)で主演を飾り、今年の顔となった吉高由里子。本作は千年の時を超え、愛され続けるベストセラー『源氏物語』を生み出した紫式部/まひろの生涯を描いた作品だ。
個人的に吉高の魅力は、少女のようなあどけなさと、大人の女性の落ち着いた雰囲気を併せ持っているところだと思っているが、それがこの役では惜しみなく発揮されていた。
というのも、まひろはちょっぴり気難しい性格で、素直じゃないところがあるだけど、吉高が演じているから可憐さが失われていなくて、目が離せないのだ。一方で、聡明な色気がそこはかとなく漂っていて、道長(柄本佑)や宣孝(佐々木蔵之介)など多くの男性たちを夢中にさせるのも納得できる。
また本作はまひろと道長のラブストーリーはもちろん、宮廷での激しい権力闘争が存分に描かれていたため、全体的に主人公としては台詞が少なかったように思う。
特に25年もの長きにわたって皇位にあった一条天皇(塩野瑛久)が生涯を終える第40回では、まひろがほとんど言葉を発していない。にもかかわらず、主人公としての威厳を常に保っていたのは吉高の“受け”の演技。目線の動きや表情だけでまひろが何を考えているのかが伝わってくるから、どんな場面でも目を奪われた。
主演としての現場でのあり方も共演者たちから絶賛されており、吉高の明るくて親しみやすい雰囲気が、どのキャラクターも生き生きとしている楽しい大河を生み出したに違いない。
(文・苫とり子)
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