絶対に助からない…「世界の終わり」をテーマにした映画(5)全面核戦争でこの世の終わり…究極の悲喜劇は?
text by 編集部
「もし明日世界が終わるとしたらどうする?」-。誰でも一度はそんな会話を交わしたことがあるだろう。その意味で、世界の終わりという究極の悲劇は、古今東西、人々の想像力の源泉になってきたのだ。そこで今回は、世界の終わりを描いた映画をセレクト。核戦争や小惑星の衝突など、バラエティに富んだ5つのシナリオを紹介する。第5回。(文・編集部)
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名匠キューブリックが描く核戦争の恐怖
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964)
『博士の異常な愛情』撮影中のスタンリー・キューブリック【Getty Images】
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、ピーター・ジョージ、テリー・サザーン
原作:ピーター・ベイツ
出演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン、キーナン・ウィン、スリム・ピケンズ
【作品内容】
冷戦真っ只中のアメリカ。戦略空軍基地司令官のリッパ-将軍が突然ソ連への水爆攻撃を指示。直ちに核兵器を搭載した爆撃機が飛行場を飛び立つ。
ところがソ連が保有する核の自爆装置は、水爆攻撃から10ヶ月以内で全世界を破滅させてしまうと判明。両国の首脳陣は緊急会合を開き、事態の収拾に奔走するが、水爆はついに投下されてしまい…。
【注目ポイント】
『2001年宇宙の旅』(1968)で知られる名匠スタンリー・キューブリックの戦争映画。主演を『ピンクパンサー』(1963)シリーズでおなじみのピーター・セラーズが演じている。
本作最大の見どころは、主演のピーター・セラーズの「1人3役」だろう。『ピンクパンサー』シリーズでは、抱腹絶倒の演技で観客の心をつかんだセラーズ。
本作では、主人公の元ナチ科学者ストレンジラヴ博士の他に、気弱なイギリス空軍将校と堅物なアメリカ大統領を演じている。扮装しているとはいえ、どの役も全く別人にしか思えないから不思議だ。
周知の通り、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、世界は冷戦期以来の全面核戦争の危機に瀕している。ストレンジラヴ博士が現実世界に現れないことを願うばかりだ。
(文・編集部)
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