『プライベートバンカー』第3話考察&感想レビュー。ラストが痛快すぎる…玉木宏が体現するサラリーマンの苦悩とは?

text by 西本沙織

木曜ドラマ『プライベートバンカー』(テレビ朝日系)が現在放送中。本作は、唐沢寿明演じる《悪魔的》凄腕プライベートバンカーが、大富豪の資産を守るためなら“何でもやる”痛快マネーサスペンス。今回は、第3話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:西本沙織】

1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。

自分の人生、“塩漬け”にしていない?

『プライベートバンカー』第3話 ©テレビ朝日
『プライベートバンカー』第3話 ©テレビ朝日

 
 証券用語における“塩漬け”とは、株式が値下がりしているのにもかかわらず、売却できずに長期保有すること。値上がりを期待して持ち続けるのは、次に挑戦するチャンスを失っているのも同然だ。

 そしてこれは、投資だけではなく、人生にも当てはまる。プライベートバンカー・庵野甲一(唐沢寿明)が放った「ご自分を塩漬けになさらぬよう ご注意を」の言葉は、まさに今くすぶっている人たちに向けたエールのようにも聞こえた。

『プライベートバンカー』第3話では、天宮寺家の長女である沙織(土屋アンナ)の息子・海斗(川原瑛都)が誘拐される。沙織から連絡を受けた庵野と助手の御子柴修(上杉柊平)、飯田久美子(鈴木保奈美)は、海斗の祖母である美琴(夏木マリ)のもとへ。そう、海斗を連れ去ったのは、美琴だったのだ。

 夏木マリの、圧倒的なラスボス感にはやっぱり目を奪われる。ただまっすぐ立っているだけでも、その凄みのハンパなさったら…。そんな夏木演じる美琴が誘拐まがいなことをしたのは、孫である海斗と養子縁組を行うため。海斗を次期社長として教育し、天宮寺家の事業継承問題を解決しようとしていたのだ。

 富裕層の間では、孫を養子にすることはよくある話らしい。実際に、世間でもある大手食品メーカーのお家騒動が話題になった。ドラマの世界の話…と思いきや、実はかなり現実的な話なのかもしれない。

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