ラストがスカッとする鬱邦画の傑作は? 記憶に残る結末5選。不穏なムードを吹き飛ばす…衝撃のエンディングをセレクト

text by 編集部

悲劇は「カタルシス(魂の浄化)」を達成するもの-。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、『詩学』の中でこう述べた。つまり悲劇は、観客の抑圧した感情を解放することで、観客の気持ちを「スッキリ」させてくれるのだ。そこで今回は、観た後にスッキリできる鬱映画を5本セレクト。あらすじとスッキリポイントを解説する。※この記事では物語の結末に触れています。(文:編集部)

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陰鬱さとカタルシスが同居した復讐劇

『告白』(2010)

松たか子【Getty Images】
松たか子【Getty Images】

監督:中島哲也
脚本:中島哲也
原作:湊かなえ
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃

【作品内容】

 とある中学校。1年B組の担任、森口悠子(松たか子)は、学年末の終業式の日に、とある告白をする。それは、自分の娘(芦田愛菜)が、プールで死亡していた件についてだった。警察は当初、本件を自殺と断定するが、彼女は犯人がこのクラスにいると告白。1人学校を後にする。

 それからしばらくして、クラスに熱血教師“ウェルテル”こと寺田良輝(岡田将生)がやってくる-。

【注目ポイント】

『下妻物語』(2004)や『嫌われ松子の一生』(2006)など、さまざまな秀作を生み出してきた映画監督、中島哲也。そんな彼の代表作ともいうべき作品が、この『告白』だ。

 本作は、小説家・湊かなえの同名小説を原作としたミステリー・サスペンス映画。キャストには、松たか子のほか、岡田将生、木村佳乃、芦田愛菜らが名を連ねる。

 いじめ、学級崩壊、児童虐待と、学校生活の闇がこれでもかと描かれた本作。作中では、登場人物が抱える心の闇が「告白」という形であぶりだされていく。

 中でも、本作の中核をなすのが、松たか子演じる森口による「犯人探し」だ。物語が進む中でやり玉にあがる2人の生徒。そのうちの1人は、周囲から注目されたいという邪な動機から、森口の娘を手にかけたことを白状する。

 そして彼は、学校をも巻き込んだ壮大な爆破計画を企てるが、結局森口の手により、未然に阻止されてしまう。学校の体育館。生徒たちが作る輪の中で、絶叫して泣きじゃくる犯人。そこに、森口が歩み寄る。

「ここから、あなたの更生の第一歩がはじまるんです。…なんてね」

 スローモーションで描かれた壮大な爆破シーンからの、静謐なラストシーン。この展開には、陰鬱さとともに不思議なカタルシスが感じられる。

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