“脱イケメン俳優化”が急加速…。横浜流星が『べらぼう』で見せる進化とは? NHK大河ドラマ、考察&感想レビュー

text by 小林久乃

横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK 総合)が放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く本作。今回は、横浜流星の演技に注目しつつ、この作品が今、世に問われることの意義を解説する。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら

従来のイメージを一新する横浜流星の芝居

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第1話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第1話 ©NHK

 大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)の放送開始から、1ヶ月が過ぎた。主演・横浜流星による、写楽、歌麿を発掘して、日本のメディアを創始したと言われる蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)の生涯を描いた物語だ。版元=出版社の重三郎が次から次へと、造詣を駆使した頭脳戦で書物を売りさばいていく様子が痛快なビジネス大河である。

 今回の大河ではまだ若手と言われる、横浜流星の主演起用が一つの話題喚起になった。『日曜日の初耳学』(MBS、TBS系)の出演時、NHKからのオファーに、今までNHKの作品に携わったこともなく「なぜ自分が?」と驚いたと話している。ただそんな疑問や、視聴者の心配も第一話の放送時には吹っ飛んでいた。なぜなら、そこにいるのは蔦屋重三郎であって、顔の美しい横浜流星ではなかったから。世間も私と同じ感想なのだろうかと、気になって、SNSを追ってみると「横浜流星だと後から知った」「蔦重の熱意が先に伝わってきた」という意見が見られる。

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