最も泣ける“難病”がテーマの日本映画は? 珠玉の感動作5選。命の尊さと愛の素晴らしさを学べる作品をセレクト

text by 阿部早苗

人に与えられた時間は平等ではない。そんな当たり前のことを忘れてしまってはいないだろうか。平凡な毎日がどれほど尊いものか、今一度考えてみてみるのも良いだろう。そこで今回は、難病を題材にした泣ける邦画を5本セレクトしてご紹介する。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

神奈川県横浜市出身、仙台在住。自身の幼少期を綴ったエッセイをきっかけにライターデビュー。東日本大震災時の企業活動記事、プレママ向けフリーペーパー、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、洋画専門サイト、地元グルメライターの経験を経て現在はWEB媒体のニュースライターを担当。好きな映画ジャンルは、洋画邦画問わず、社会派、サスペンス、実話映画が中心。

時と国境を超える切ないラブストーリー

『青春18×2 君へと続く道』(2024)

清原果耶
清原果耶【Getty Images】

監督:藤井道人
脚本:藤井道人、林田浩川
原作:ジミー・ライ『青春18×2 日本慢車流浪記』
出演:シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳

【作品内容】

 18年前の台湾。高校生のジミー(シュー・グァンハン)は、バイト先で出会った日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)に恋をする。彼女も秘密を抱えつつ彼に惹かれるが、突然の帰国が決定。落胆するジミーに、アミはある約束を持ちかける…。

【注目ポイント】

 本作はジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を原作に、映画『新聞記者』(2019)や『余命10年』(2022)で知られる藤井道人がメガホンを取った作品だ。

 最初の舞台は18年前、台湾から始まる。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)は、財布を失くしてアルバイトを探していた4歳年上の日本人アミ(清原果耶)とバイト先で出会い、一目惚れをする。アミも少しずつジミーに心を開いていくが、実はアミには誰にも話せない秘密があった。そんな矢先、アミの帰国が決まる。アミは別れる前、ジミーにお互い夢が叶ったら再会することを約束したのだ。

 物語はジミー視点で18年前にアミと過ごした時間を回想しながら、現在までの人生を交差していく。進学に続き、仕事にも身を粉にしてきたジミーは、アミとの再会をずっと心待ちにしていた。そんな彼が仕事のトラブルによって失業。最後の出張先となった日本で青春18切符で列車の旅始める。目的地はアミの故郷だった。

 一方、アミが抱えていた秘密というのが、難病の「肥大性心筋症」だ。突然死のリスクが高く、ずっと故郷を離れずに暮らしてきた。そんな彼女はリスクを抱えながらも自分の生き方を確かめるために旅をしていた。そこでジミーと出会い、アミも彼に惹かれていたのだ。けれど、病気を抱える彼女はジミーに病が気づかれないように、帰国後も日本に来させないように“恋人”という存在がいると嘘をつく。

 ジミー視点では分からなかったアミの心情が、彼女の回想シーンで明らかになる瞬間、思わず涙がこみあげてくる。

 アミの故郷まで列車の旅をするジミーの一期一会。そして岩井俊二監督の映画『Love Letter』のオマージュシーン。クライマックスでは、それまでのジミーの心情をガラリと変えてしまう演出が心に残る作品だ。

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