NHKドラマ『リラの花咲くけものみち』第1話考察&感想。初回から涙が止まらない…山田杏奈のひたむきな演技の魅力とは?【ネタバレ】

text by 苫とり子

山田杏奈主演のNHK土曜ドラマ『リラの花咲くけものみち』が放送開始した。本作は、北海道の大自然を舞台に、「いのち」と向き合い獣医師を目指す。元ひきこもり少女の、不器用でいとおしい青春物語。今回は、第1話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

命の尊さを実感…。

『リラの花咲くけものみち』 第1話 ©NHK
『リラの花咲くけものみち』 第1話 ©NHK

 2022年、春。初夏になるとリラ=ライラックの花が咲き誇る白樺の並木道を歩いていた主人公の聡里(山田杏奈)は、風に乗って漂ってくる獣臭を感じ取る。

 第7回未来屋小説大賞に続き、第45回吉川英治文学新人賞をW受賞した藤岡陽子の小説を原作とするNHK土曜ドラマ『リラの花咲くけものみち』が放送開始となった。

 獣医師を目指す元ひきこもり少女・聡里が動物たちや仲間たちとの交流を通じて、喜びや悲しみを経験しながら成長していく姿を描いた本作。初回の放送から命の尊さを実感する展開に涙が止まらなかった。

 東京出身の聡里は、北海道にある北農大学で寮生活をしながら獣医学を学び始める。しかし、12歳から引きこもりになり、他人とほとんど関わってこなかったため、なかなか友達ができない。それどころか、上手く会話もできず、ルームメイトの綾華(當真あみ)を苛立たせてばかり。

 そんな聡里は毎晩、古びた箱を開けては何やらぶつぶつと喋りかけていた。気になった綾華が聡里がいない時に箱を開けてみると、そこに入っていたのは動物の骨。綾華は不気味に思い、寮長の静原(石橋静河)に部屋替えを申し出るのだ。

 そこで意を決して、聡里は綾華に引きこもりになった原因について語り始める。小学校4年生の時に母・有紀子(安藤聖)が病死してから、父と3歳から飼っている元保護犬のパールと暮らしていた聡里。6年生になり、父が再婚したことで新しい母親ができた。

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