最も泣ける“薄命のヒロイン”を描いた映画は?(5)涙で画面が観られない…心を揺さぶる終盤のシーンとは?

text by 阿部早苗

人に与えられた時間は平等ではない。そんな当たり前のことを忘れてしまってはいないだろうか。平凡な毎日がどれほど尊いものか、今一度考えてみてみるのも良いだろう。そこで今回は、難病を題材にした泣ける邦画を5本セレクトしてご紹介する。(文・阿部早苗)

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『君の膵臓をたべたい』(2017)

浜辺美波
浜辺美波【Getty Images】

監督:月川翔
脚本:吉田智子
原作:住野よる『君の膵臓をたべたい』
出演:浜辺美波、北村匠海、大友花恋、矢本悠馬、桜田通、上地雄輔、北川景子、小栗旬

【作品内容】

 高校時代、膵臓の病を抱える山内桜良(浜辺美波)の秘密を知った“僕”(北村匠海)は、彼女と特別な時間を過ごす。12年後、教師となった“僕”は教え子と話す中で桜良との日々を思い返し、親友・恭子もまた結婚を前に桜良を思い出していた。

【注目ポイント】

 住野よるのベストセラー同名小説を原作に、『君と100回目の恋』(2017)『ディア・ファミリー』(2014)などで知られる監督の月川翔がメガホンを取った。余命わずかな少女と、彼女の秘密を偶然知ってしまった少年の交流を描いた物語。出演は浜辺美波、北村匠海、大友花恋、小栗旬、北川景子らが名を連ねた作品だ。

 物語の主人公は、地味で読書好きな“僕”(北村匠海/小栗旬)。高校教師になった“僕”が、亡き同級生・桜良(浜辺美波)との思い出を生徒に話しながら回想していく。高校時代の“僕”は桜良の日記帳「共病文庫」を偶然見つけてしまい、彼女が膵臓の病を患い余命が短いことを知ってしまう。そんな桜良は“僕”との交流を通じて、残された時間を精一杯生きようとする。

 彼女の明るさは死を目前にしても、常に前向きで周囲を笑顔にさせる。そんな桜良と過ごすことで“僕”は他者と関わることの大切さを学び、心を開いていくのだ。一方で、桜良自身が抱いている死への恐怖心も伝わってくるもので心揺さぶられる。

 物語の終盤では、病気ではない予想もしなかった形で彼女との別れが突然訪れる。死後、桜良の家に行った“僕”は、母親から「共病文庫」を渡される。そこには闘病生活の中で彼と出会い、彼に抱いていた桜良の恋心が綴られていた。ふたりで過ごした時間のなかで初めて知った彼女の心情。それを知った“僕”の一言に、観る側の感情も大きく揺さぶられるシーンとなっている。

(文・阿部早苗)

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【了】

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