プロが選ぶ「声が良い」アイドル出身女優No.1は?(4)若手屈指の演技派…主人公向きの美声の持ち主は?
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。英国の作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。しかし、声が重要なのは何も男性だけではない。「印象の4割は声によるもの」というように、女性にとっても武器になりうる。そこで今回は声の専門家に「最高の声を持つ女性アイドル」の選出を依頼。その声の魅力を伺った。第4回。(取材・文:司馬宙)
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等身大の役を表現するニュートラルな声
川栄李奈
―――次は、元AKB48の川栄李奈さんです。連続ドラマ小説『カムカムエヴリバディ』(2021、NHK総合)の大月ひなたや『となりのナースエイド』(2024、日本テレビ系)の桜庭澪など、等身大の役を演じる機会が多い印象です。
「川栄さんの声は、とても自然でニュートラルなので、感情を乗せやすいんです。加えて、声がクリアで聞き取りやすいので、明らかに主人公向きですね」
―――川栄さんといえば、AKB48時代はどちらかというと「おバカキャラ」という印象でしたが、AKB48を脱退されてから女優として一皮むけた印象があります。特に、『カムカムエヴリバディ』での英語の長ゼリフは、「おバカキャラ」しか知らない視聴者に衝撃を与えました。
「AKB48の皆さんは、曲の完成を待たずしてPV撮影に入ることもあって、その場でダンサーの動きを見ながらダンスを覚えないといけなかったりするので、元々の地頭は間違いなくいいと思います。もしかすると、AKB48を脱退されてから、演技レッスンをたくさん積まれたのかもしれないですね」
―――ちなみに川栄さんは、尊敬する人物として、大島優子さんを挙げています。
「大島さんも川栄さんも、軸がしっかりされてそうですよね。役者さんの場合、軸がしっかりしていないと役に取り込まれてしまうことがままあるので」
―――それは危険ですね。
「はい。なので、役者さんは、演じる前に自分自身と役の境目をしっかり意識しておく必要があります。その点、川栄さんと大島さんは、しっかりと役柄を冷静に客観視できている印象があります」
―――もしかすると、「おバカキャラ」も川栄さんの役のひとつだったのかもしれないですね。
【日本美声チューニング協会 三浦人美会長 プロフィール】
発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000 人以上の方を指導する。
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