『119 エマージェンシーコール』第4話考察&感想。一ノ瀬颯の鬼気迫る熱演に鳥肌…当事者のような臨場感を感じたワケ【ネタバレ】

text by 西本沙織

清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第4話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:西本沙織】

1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。

「つなぐことが叶わなかった」ときのやるせなさ

『119 エマージェンシーコール』第4話 ©フジテレビ
『119 エマージェンシーコール』第4話 ©フジテレビ

 いつからか、“絶対”と言うのを避けるようになった。「世の中に“絶対”は存在しない」とわかってきたのもあるけれど、“絶対”は励ましの言葉であると同時に、結構危うい言葉でもあるから…。

『119エマージェンシーコール』第4話では、“絶対”という言葉がもたらす重責をテーマに、指令管制員たちの熱き思いが描かれた。今回、フィーチャーされたのは、救急救命士の資格を持つ与呉心之介(一ノ瀬颯)。普段の物腰は柔らかいが、救命措置に非協力的な通報者には、つい声を荒げるほど熱くなってしまう。

 あるとき、1本の通報をキャッチした粕原雪(清野菜名)。82歳の高齢者が、39℃の発熱をしたという内容だった。救急車を向かわせようとするが、一度は断られてしまう。しかし、容態が悪化したと二度目の通報があり…。

 状況から呼吸をしていないと判断した雪は、通報者に心臓マッサージを依頼する。だが、通報者自身も78歳の高齢で、腰が痛くてできないとまごついていた。雪は通報者に向かって「やってください!絶対に助けますから!」と懸命に指示をするが、指導医である峰元英隆(マキタスポーツ)に止められてしまう。

 救命措置には、通報者の協力が必要。でも、足腰の弱い高齢者に無理をさせれば、要救助者だけでなく、通報者自身が危なくなる可能性も。インフルエンザによる救急車要請の増加により、救急車の到着も間に合わない。なすすべなく、雪は通報者との通話を切る…。

 指令管制員は、1本の電話で命を“つなぐ”最前線に立つ仕事。だが、“つなぐ”ことが叶わなかった事例もあるのだと、本エピソードで現実を突きつけられた気がした。雪や指令管制員たちのもどかしさ、やるせなさが、確かな手触りをもって胸に押し寄せてくるシーンだ。

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