名作揃い…識者が選ぶ最も面白い「多きょうだいドラマ」は?(1)最強のイケメンが勢ぞろい…平成屈指の名作
テレビ放送が本格的にスタートしておよそ70年。数々のドラマがお茶の間の話題をさらってきた。中でも、「多きょうだい」の人間模様を描いた作品には当たりが多い。そこで今回は、「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社)の著書であるコラムニストの小林久乃さんに、お勧めの「多きょうだいドラマ」を3本セレクトしてもらった。第1回。(文・小林久乃)
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とんでもない豪華俳優陣出演の眼福ドラマ
『ランチの女王』(2002)
脚本:大森美香、二木結希、武田樹里
キャスト:竹内結子、妻夫木聡、伊東美咲、山下智久、山田孝之、森田剛、若林豪、堤真一、江口洋介
「あ、もう3人姉弟(きょうだい)のドラマは観られなくなるかもしれない」
1月に放送された『スロウトレイン』(TBS系)を見てそう思った。両親と祖母を事故で失った、渋谷葉子(松たか子)、都子(多部未華子)、潮(松坂桃李)による、3人きょうだいを描いたスペシャルドラマだ。
少子化が叫ばれている昨今、一人っ子家庭がスタンダードになりつつある。2024年には日本人の出生率は約68.5万人となり、1人の女性が一生涯に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は1.15となっている。つまり三人きょうだいは超貴重。多きょうだいを題材にした作品は個性豊かですごく楽しいのに、今後観られる機会は減っていくことになる。なんだか寂しいので、ここらで多きょうだいを扱った、私的連続ドラマの過去作ベスト3を振り返っておく。
まずは2002年放送『ランチの女王』(フジテレビ系)。昭和生まれの平成育ちであれば「あ〜っ!」と思い出す人も多いはず。本作では男性の四人兄弟が登場した。
物語の舞台は家族経営の『キッチンマカロニ』。風来坊の長男・鍋島健一郎(堤真一)、店舗を切り盛りする次男・勇二郎(江口洋介)、同じく店舗で働く三男・純三郎(妻夫木聡)、高校生の四男・光四郎(山下智久)という、どこから切り取っても絵になる男たち。今振り返るととんでもない豪華メンツの俳優陣だ。
ただ主役は彼らではなく、諸事情によって鍋島家に転がり込んでくる麦田なつみ(竹内結子)。長男は逃亡中なので、ほぼ三兄弟プラス、住み込み見習いの牛島ミノル(山田孝之)と、父親。合計5人の男性と一つ屋根の下で暮らしていた。この男性軍となつみが絡み合っていくのが、ドラマの見どころ。
女子高育ちの私、本当は公立の工業高校を志望していた。理由は「男子が多かったから」彼氏に困らなそうだし、女が大勢いれば揉めることは間違いなしなら、クラスにポツンと女子ハーレム状態でいることに憧れた。そんな私からすると鍋島家はユートピアだと、毎週放送を楽しみにしていたものである。加えて『キッチンマカロニ』の消え物(料理)が毎回本当においしそうだった。架空だとわかっていても、名物のオムライスは食べに行ってみたかった。
【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。
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