なぜ『東京サラダボウル』は、“刑事ドラマに飽き飽きした”視聴者の心を掴んだのか? 話題のNHKドラマを深掘り考察
text by 小林久乃
NHKドラマ『東京サラダボウル』が放送中だ。国際捜査の警察官&ワケありの通訳人のコンビが、様々な事情で日本に暮らす外国人居住者の問題に挑む。近年の刑事ドラマの中でも出色のクオリティを誇る本作の魅力を解説する。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら
『東京サラダボウル』がもたらす爽快感
毎クール、刑事ドラマは必ず放送される。現在も『秘密~THE TOP SECRET~』(関西テレビ、フジテレビ系)、『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』(フジテレビ系)などいくつかがオンエア真っ最中。その中でも私が次週の放送を楽しみにしているのは、奈緒主演の『東京サラダボウル』(NHK総合)だ。
“東新宿署に勤務する警察官、鴻田麻里(奈緒)は国際捜査係に所属。外国人犯罪を専門に取り扱う部署だ。彼女は日本語のつたない外国人たちに、自分のことを認識してもらうために敢えて派手なグリーンヘアカラーをしている。警視庁・通訳センターの中国語通訳人、有木野了(松田龍平)の手を借りながら、あらゆる事件において外国人に分け隔てなく接する”
鴻田は日本で罪を犯した、関わった人物たちを追いながらも真っ向から疑うことはせず、まず当人の背景を探る。これがオムニバス放送のざっくりとした展開。この文章だけ読んでいれば「ああ、どこにでもあるドラマじゃん」。でも他ドラマと違って、『東京サラダボウル』は視聴後に爽快感があるんだよなあ、と書きながら思う。