「青山剛昌先生は天才」初代プロデューサー諏訪道彦が語る、劇場版「名探偵コナン」が成功を収めたワケ。独占インタビュー
『名探偵コナン』『犬夜叉』『シティーハンター』など、日本のアニメ史を彩る数々の作品で企画・プロデュースを担当してきた諏訪道彦氏。4月18日(金)より公開の劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』に先駆けて、『コナン』の魅力やテレビアニメ・劇場版にまつわるエピソードをお聞きした。(取材・文:近藤仁美/取材協力:あまのさき)
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【諏訪道彦 プロフィール】
1959年愛知県生まれ。「シティーハンター」「名探偵コナン」「犬夜叉」など企画・プロデュース。劇場版「名探偵コナン」シリーズは23作目「根性の拳」まで企画・プロデュース。2023年10月「株式会社アスハPP」設立。現在は引き続き新作アニメーションの企画プロデュース業を行う。現在大阪芸術大学芸術計画学科教授。
「青山剛昌先生は天才だと思う」
―――まずは『名探偵コナン』に関わるようになったきっかけを教えてください。
「小学館さんとは『YAWARA!』というアニメからお付き合いしていまして、毎週1回編集部に行くことが続いていました。
1993年の年末には『名探偵コナン』の第1話を読ませていただくチャンスを得て、『薬を飲んで体が縮む』という設定に衝撃を受けました。この部分は実は大ウソ、フィクションなんですよね。フィクションを前提としてリアルな推理をしていくという、その展開に驚きました。『それって絶対アニメ的じゃん!』と思うわけですよ。そこで、編集部には連載5・6回目から『これ、アニメにしたいです!』と言っていました」
―――今となっては幅広いファンから支持されている『名探偵コナン』ですが、当時の諏訪さんは、『コナン』のどんなところにヒットを確信されたのですか?
「アニメというと当時は子どものイメージがありましたが、僕には『シティーハンター』のころからの持論がありました。それは、『大人も』楽しめるものをつくるということです。
また、『コナン』が現在も続いている秘訣は何かと言われれば、第一に青山剛昌先生の素晴らしい設定、素晴らしい原作。本当に凄いと思う。あの人は天才だと思う。で、その素晴らしい原作をテレビアニメに昇華させるために、その作品フォーマット作りはがんばりましたね。
例えば、オープニングからエンディングのNext Conan’s HINTまで、どうやって内容を伝えていくかや観る人にとって安心感のあるリズム、そのフォーマットが初期スタッフによってしっかり出来ているんだ、というところだと思います」
―――テレビアニメ版と劇場版の違いでいうと、劇場版の『名探偵コナン』では、なにかしら爆発しますよね。これについて、テレビアニメ版は爆発すると洒落にならない業種のスポンサーがついている一方、劇場版はそうではないから、という話がまことしやかに聞こえてきます。
「それは事実ですよ。日本ガス協会がいましたので配慮をしました。でも、別の意味もあります。大スクリーンでのスケール感を追い求めたワケです。映画館で『おー! すごいこと起きた!』と思ってもらえるよう、スケールのでかい舞台を選び、スケールの大きい爆発を起こそうと意識しました」
―――劇場版だからこその表現でもあるのですね。
「そうそうそう。TVで見るいつもの面白さに加えて、ぜひ大スクリーンでスケールの大きさを感じて欲しいと願っています。」