なぜバカリズムのドラマは後半にかけて面白さが増すのか? 『ホットスポット』から読み解く綿密なリサーチ力。考察レビュー
text by かんそう
ドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が毎週日曜22時半より放送中。本作は、市川実日子演じる主人公が宇宙人と遭遇する“地元系・エイリアンヒューマンコメディ”だ。今回は、過去バカリズムが脚本を務めた大ヒットドラマ『ブラッシュ・アップ・ライフ』(2023)と本作それぞれの魅力を紐解いていく。(文・かんそう)
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【著者プロフィール:かんそう】
2014年から、はてなブログにてカルチャーブログ「kansou」を運営。記事数は1000超、累計5000万アクセス。読者登録数は全はてなブログ内で6位の多さを誇る。クイック・ジャパン ウェブ、リアルサウンド テックなどの媒体でライター活動を行うほか、TBSラジオで初の冠番組『かんそうの感想フリースタイル』のパーソナリティも務め、2024年5月に初書籍『書けないんじゃない、考えてないだけ。』を出版した。
女性同士の会話に宿る「生活感」
『ブラッシュ・アップ・ライフ』と『ホットスポット』の最も大きな共通点は、どちらも身の回りの出来事が中心の、緩さを持った日常系コメディだということ。バカリズム脚本の魅力といえば「世間話のディテール」が挙げられるだろう。とりわけ、女性同士の会話に至っては1日中ロイヤルホストかココスに張って脚本を書いているのかと思わせるほど。
バカリズム自身が主演・脚本・原作を務めた2020年に公開の映画『架空OL日記』でも、そのリアリティは尋常ではなかったが、この2作ではさらにパワーアップ。性別だけでなく「世代間あるある」すら熟知しているそのリサーチ力に度肝を抜かれた。
『ブラッシュ・アップ・ライフ』と『ホットスポット』、両者には大きな違いがある。それは「主人公自身が特別な能力を持っている」か「主人公の周囲が特別な能力を持っているか」だ。