結末がスッキリしなかった名作ドラマは? 賛否両論の最終回(1)衝撃ラストに呆然…タイトルの意味が残酷すぎる

text by 編集部

悲劇は「カタルシス(魂の浄化)」を達成するもの-。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは『詩学』の中でこう述べた。つまり悲劇は、観客の感情を解放し「スッキリ」させるというのだ。とはいえ、最終回まで胸糞だとさすがにスッキリどころではないかもしれない。今回は、そんな苦い後味で終わった名作ドラマを5本紹介する。第1回。(文:編集部)

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悲劇へと突き進む運命の歯車

『空から降る一億の星』(2002、フジテレビ系)

木村拓哉(2009年)
木村拓哉【Getty Images】

脚本:北川悦吏子
キャスト:明石家さんま、木村拓哉、深津絵里、井川遥、柴咲コウ、田山涼成、八嶋智人、大澄賢也、金子貴俊、森下愛子

【作品内容】

 堂島完三(明石家さんま)は、女子大生殺人事件の犯人を追う独身刑事。「新時代電気」編集部勤務の編集者で妹の優子(深津絵里)と2人つつましく暮らしていた。

 ある日、知人の美羽の誕生日パーティーに出席。コック見習いの片瀬涼(木村拓哉)と運命的な出会いを果たす。その後、優子も涼と出会い、三人の間に不穏な空気が漂い始める。

【注目ポイント】

 国民的アイドルグループSMAPの一員として一世を風靡し、『ロングバケーション』(1996、フジテレビ系)や『HERO』(2001、同局)など、数々のドラマで主演を務めてきたスーパースター、木村拓哉。そんな彼が、珍しくダークサイドに堕ちた人間を演じたのが、この『空から降る一億の星』だ。

 脚本は『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』(2000、TBS系)など、木村主演のドラマの脚本を数多く手がけてきた「恋愛ドラマの神様」北川悦吏子。主人公の独身刑事・堂島完三を、木村と公私ともに仲がいい「お笑い怪獣」明石家さんまが、完三の妹の優子を深津絵里が演じる。
 
 完三と涼の「運命の出会い」から、失われた涼の幼少期の記憶を紐解いていく本作。放映時は、平均視聴率22.6%を記録し、関西地区では30%に達するなど、高い人気を博し、2018年には韓国でリメイクされている。

 そんな本作の最終回は、涼の過去が語られ、今まで張り巡らされていた伏線が一気に回収されるというもの。互いに思いを寄せ合う涼と優子が実は兄妹だったことや、完三が若い頃に人を殺めた2人の父親を殺害していたことなど、驚愕の事実が次々と明らかになる。

 そしてラストでは、涼が完三への復讐のために自分に近づいたと勘違いした優子が、湖面に浮かぶボートの上で涼に向かって発砲。その後、涼が持っていた手紙から顛末を知り、自らに銃口を向ける。

 なお、本作のタイトルは、湖面で息絶える2人の情景を表現したもの。一億の星は、2人の侵した罪をそそぐかのように輝き続けている。

(文:編集部)

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【了】

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