地上波ギリギリ…? 残酷描写が物議を醸した名作ドラマ5選。鑑賞注意…だけど超面白い! 珠玉の作品をセレクト
学園ドラマや恋愛ドラマに胸を熱くさせるのもいいが、時には、ミステリードラマを観てスリルを味わうのも、ドラマ鑑賞の醍醐味だろう。そこで今回は、観ていて思わずゾッとする、猟奇的な事件を扱うミステリードラマを5本セレクト。見どころを解説する。(文・西本沙織)
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
暗く、重く、悲しいストーリーと魅力的なキャラクターたち
『ストロベリーナイト』(2010、フジテレビ系)
脚本:龍居由佳里、林誠人、黒岩勉、旺季志ずか
キャスト:竹内結子、西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、津川雅彦、渡辺いっけい、遠藤憲一、髙嶋政宏、生瀬勝久、武田鉄矢
【作品内容】
ノンキャリアながら、異例のハイスピードで出世を果たした警視庁捜査一課の女性刑事・姫川玲子。目を覆いたくなるほどの凄惨な事件にも、そのタフな精神力と類まれなる直感力を武器に果敢に立ち向かう。
だが、彼女には、犯罪者の意識と同調しすぎてしまう危険な一面があった。自らが事件被害者となったトラウマ、部下の殉職という過去を抱えながら、班長として、一刑事として、個性派揃いの刑事たちとぶつかり合いながら事件を追っていく。
【注目ポイント】
誉田哲也による小説「姫川玲子シリーズ」を映像化した『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)。「土曜プレミアム」「ドラマレジェンド」でのスペシャルドラマから始まり、連続ドラマ化、映画化(東宝)と、その歴史を刻んできた。
暗く、重く、悲しいストーリー。本作を観ていると、人間の業に少しゾッとしてしまう。連続ドラマ版でいえば、「シンメトリー」の頭の先から股まで真っ二つになった轢死体や、「ソウルケイジ」の自らの手首を切断する描写など、目にすれば自らも痛みを感じるような惨たらしいシーンも多々散見される。だが、それ以上にキャラクターが魅力的で、最後まで目が離せない。
主人公の姫川には、凜とした力強さとともに、今にも崩壊しそうな脆さや危うさが共存している。当時の刑事ドラマとしては珍しいほど多くの女性ファンを獲得したと言われている本作だが、痛みを抱えながらも、過去のトラウマや男社会の警察で女性の偏見に抗っていく姿を丁寧に描いたところが、あまたの女性の共感を呼んだのではないだろうか。
そして、そんな姫川を支える姫川班のメンバーたちの勇姿、そして彼女を想う菊田和男(西島秀俊)との筆舌に尽くしがたい関係性も、たまらなく愛おしい。
ところで、2025年冬ドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』(フジテレビ系)を観て、本作を思い出す人が増えているようだ。過去のトラウマ、ノンキャリアからの出世、主人公を慕う部下の殉職など、いくつもの共通点が二つのドラマを繋ぐ。本作の映像化が一区切りして、もう10年を超える。なにかの縁を感じながら、『ストロベリーナイト』を改めて楽しむのもいいだろう。