プロが選ぶ史上最も殺陣が上手い俳優は? 歴代最強の逸材(6)とんでもない身体能力を誇る“バケモノ”たちは?

text by Nui

『侍タイムスリッパー』(2024)や『室町無頼』(2025)など、話題の時代劇作品の殺陣を手がけた清家一斗さんは、1990年生まれの若手でありながら、伝統的な時代劇文化を継承する殺陣師として活躍している。今回はその清家さんと同世代の時代劇リサーチャーで絵描きのNuiが対談を行い、いま改めて注目したい“殺陣の凄い時代劇俳優”6人を選出した。第6回。(文・取材:Nui)

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(番外編)松平健をはじめとした昭和のレジェンド

松平健
松平健【Getty Images】

―――ちなみに、5人以外にも里見浩太朗さん、松平健さん、松方弘樹さん、高橋英樹さんと、レジェンドたちはいっぱいいますよね。言葉はよくないですが、もはや“バケモノ”と言える方々も…(笑)。

清家「ほんっと、“バケモノ”はいっぱいいますよね(笑)!」

―――萬屋錦之介さん、大川橋蔵さん…。

清家「市川歌右衞門さん、片岡千恵蔵さん。もう、キリがないですからね。どういう身体能力をしてんだろうって。大河内傳次郎さんとか」

―――阪妻さん(阪東妻三郎)とかもそうですか?

清家「そうですね。なぜかわからないんですが、昭和のスターってみんな殺陣ができるんですよね。できない人を見つける方が難しい。でも努力なしにできるわけないので、まったく稽古せずにできてる人はいないと思うんですよ」

―――まるでやってないかのように見えますけど(笑)。

清家「そうなんですよ。でも陰では凄い努力してると思うんです。あれほど見事な立ち回りが、まったく経験していない人たちができるわけがないので。

血のにじむ努力があってこそ、あれだけの美しい立ち回りだったり、個性的な立ち回りだったりができるのかなと。あと、やっぱり昔の役者さんは個性がすごいですね」

―――個性って勝手に出てきちゃうものなんですかね?

清家「被らないようにという、スターさん同士の意識はあると思います」

―――橋蔵さんがやるなら俺はやらないって、錦之助さんが言ってそうですもんね(笑)。俳優さん同士のバチバチが良い効果を生むんですかね。特に、近衛十四郎さんとか、リアル系の独自路線ですが、どうしてあのような独自性が生まれたんだろうと疑問に思うんですが。

清家「近衛さんは、個性豊かな昭和のスターの中でも、かなり高いレベルですね。斬り方、血振り(人を斬った後に刀に付いた血を振るい落とす所作)までご自身で色々研究して、独自のものを生み出していると思います。

いまの俳優さんたちは、生み出すというより演じるということがメインじゃないですか。でも、あの時代のスターの方たちは、知識を深めていって独自の表現を生み出しているんです。そういった意味で、みなさん物凄い境地に達していると思います。

でも、里見さんもそうですが、橋蔵さんも錦之助さんも、稽古場面を見たという話を聞いたことがないんです。つまり、どこでいつ稽古していたのか全くわからない」

―――精神と時の部屋※に入って稽古されてたんですかね(笑)。

清家「あるいは、タイムスリップして行ったり来たりしていたか、宇宙人かどっちか(笑)」

―――地球人だって思っていたけど、実はサイヤ人でしたって、これからわかっていく可能性ありますね(笑)。

※漫画「ドラゴンボール」に登場した「1日で1年分の時間が過ぎる」「重力が地球の10倍」など、さまざまな特徴を持つ架空の部屋。

(文・取材:Nui)

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【了】

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