憂鬱すぎる…日本のほろ苦い恋愛映画は? ビターな傑作(2)突然の別れに絶望…原作ファン納得のキャスティング
古今東西、恋愛には喜びと悲しみがつきものだ。華やかで心躍るような時間がある一方で、恋破れたときの悲しさは、生涯忘れがたい傷として脳裏に刻まれる。そこで今回は、そんな恋愛の負の側面を描いた邦画を紹介。なお、一部の紹介には結末のネタバレを含むため、お読みいただく際にはくれぐれもご注意いただきたい。第2回。(文・村松健太郎)
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恋人との永遠の別れ
『ソラニン』(2010)
監督:三木孝浩
脚本:髙橋泉
原作:浅野いにお
キャスト:宮﨑あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩
【作品内容】
大学の軽音サークルで出会った種田(高良健吾)と芽衣子(宮﨑あおい)は、交際して6年目になるカップル。芽衣子は正社員として、種田はアルバイトの傍らバンド活動を続けながら、2人は愛を育んでいた。
そんなある日。種田は、ふとしたきっかけから別れを切り出し、部屋を飛び出してしまう。そしてその直後、交通事故で突然この世を去ってしまう。
【注目ポイント】
破局の中で最も悲しく、悔やんでも悔やみきれないのがパートナーとの永遠の別れだろう。そんな恋人との間で唐突に訪れた“永遠の別れ”を描いたのが、この『ソラニン』だ。
最愛の人の死を乗り越え、新たな一歩を踏み出す女性の姿を描いた本作。公開当時は、宮﨑と高良が演じる等身大の若者像も観客の共感を呼んだほか、原作ファンからも高い評価を得た。
そして、本作を語る上で忘れてはならないのが、タイトルにもある劇中曲「ソラニン」だろう。原作では歌詞のみだったこの曲に、ASIAN KUNG-FUGENERATIONが新たにメロディをプラス。劇中では、宮﨑あおいと高良健吾によって演奏されている。
なお、監督の三木は、本作について、原作にある「夢を持ち続ける自分とどこか冷静な自分の心の揺れ動く感じ」を踏襲したかったと語っている。就職や進学など、人生の岐路に直面している若者たちに確実に刺さる一作だ。
(文・村松健太郎)
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【了】