日本の「胸糞悪い青春映画」最高傑作は? 鬱展開の邦画(5)原作以上に暗い…壮絶ないじめが生んだ悲劇とは?

text by 村松健太郎

何物にも光もあれば影もある。大部分は爽やかなイメージで構成されている“青春時代”であっても、当然影の部分はある。今回は影の部分を色濃く感じることができる青春映画5選をご紹介する。ただ、どの作品も陰鬱とした展開が多いので見る時には心身のコンディション調整をしてから視聴することをお薦めする。(文・村松健太郎)

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いじめられた少女の復讐劇…原作以上に鬱映画に

『ミスミソウ』(2018)

山田杏奈【Getty Images】
山田杏奈【Getty Images】

監督:内藤瑛亮
脚本:唯野未歩子
出演者:山田杏奈、清水尋也、大谷凜香、大塚れな、森田亜紀

【作品内容】

 父親の仕事の関係で田舎に転校してきた女子中学生の春花は、転校すると同時にクラスメイトから壮絶な虐めに遭っていた。それでも家族に心配をかけまいと、春花は卒業まで必死に耐えようとする。

 しかし、虐めっ子グループは春花の家に放火、両親は命を落とし、妹は一命を取り留めたもの重傷を負う。事態の真相を隠そうとする虐めっ子グループは春花に自殺を迫るが、その際に虐めっ子グループの一人が事件の真相を口走る。すべてを知ったた春花は単身復讐に挑む、しかし真相の奥にさらにある事実があった…。

【注目ポイント】

 最近でも『サユリ』(2024)が映画化され大きな話題を集めた押切蓮介の同題コミックの内藤瑛亮監督が映画化。内藤瑛亮監督は長編デビュー作の『先生を流産させる会』(2011)以降、常にセンセーショナルな作品を発表し続けている。近作にはドラマ『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ系、2024)や2025年公開の映画『嗤う蟲』(脚本で参加)などがある。

 主演は後に『ゴールデンカムイ』(2024)や『正体』(2024)でメインキャストを務める山田杏奈。約1000人が応募したオーディションを勝ち抜いての主役への抜擢であった。共演陣にも現在、若手の注目株として活躍する清水尋也、大谷凜香が名前を連ねるなど、今見直すと製作陣の先見の明を感じることができる。

 原作コミックもかなり陰惨な展開が続くが、映画では終盤の展開が変更されていて原作以上の鬱映画となっている。

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【了】

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