民放ドラマ史上最高の最終回は? スッキリした結末5選。お見事の一言…視聴者の心に刻まれた神ドラマをセレクト

text by 阿部早苗

毎年、数多のドラマ作品が制作される中で、放送終了後も語り継がれる名作も多い。名作が名作たる所以、それは「結末」にあると断言して良いだろう。今回は、民放ドラマ史上もっとも視聴者の心に残る最終回をセレクト。物語の内容から作品の魅力に至るまでたっぷりとご紹介する。(文・阿部早苗)

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【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住のライター。2020年にライターデビュー。これまで東日本大震災での企業活動をまとめた冊子「こころノート」第2弾、プレママ向けフリーペーパーを執筆した他、エンタメニュース、福祉関連記事、GYAOトレンドニュース、地元グルメライターなどWEB媒体を中心に執筆。映画なしでは生きられないほど映画をこよなく愛する。

友だちとの理想的な老後に憧れる

『ブラッシュアップライフ』(2023、日本テレビ系)

安藤サクラ
安藤サクラ【Getty Images】

脚本:バカリズム
キャスト:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、染谷将太、黒木華、仲村トオル、臼田あさ美、塚地武雅、三浦透子、市川由衣、野呂佳代、鈴木浩介、山田真歩、野間口徹、江口のりこ、神保悟志、志田未来、中島ひろ子、田中直樹、水川あさみ、浅野忠信、バカリズム

【作品内容】

 市役所勤務の麻美(安藤サクラ)は33歳で突然事故死し、死後の世界へ。来世はオオアリクイと告げられるが、人生をやり直して徳を積めば人間になれると知り、再挑戦を決意。平凡な人生を少しずつ変えていく奇想天外な物語。

【注目ポイント】

 2023年1月期に放送されたドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、練りに練られたセリフ表現、観客の予想を裏切るストーリーテリングで脚本家・バカリズムが一躍大ブレイクを果たした作品である。平均視聴率は10%に届かなかったものの、Huluの2023年年間視聴数ランキングでは見事総合1位を獲得。さらに、アジア最大級の番組アワード「Asian Television Awards 2023」では最優秀脚本賞を受賞するなど、大成功を収めた。

「磨きをかけることやさらに良くすること」。タイトルに付された「ブラッシュアップ」が意味する通り、主人公の麻美(安藤サクラ)は、過去の記憶を持ちながら、人生2周目、3周目…と転生を繰り返し、過去の経験を活かしながら自分自身はもちろん周囲の人々の運命を変えていく。

 麻美が幼馴染の夏希(夏帆)、美穂(木南晴夏)と3人で度々集まり「女子トーク」を繰り広げる本筋とは関係のないシーンもきわめて魅力的だった。たまごっち、シール帳、ゲームボーイアドバンス…といった平成レトロ描写のディテールの細かさに唸った視聴者も多いだろう。

 また、毎回豪華なゲストが出演したことでも話題を呼んだ本作。最終回では浅野忠信が意味深に登場したかと思えば、初心者タイムリーパーのちょい役で「浅野忠信の無駄づかい」とネットを大いに賑わせた。しかしながら、『ブラッシュアップライフ』最終回の素晴らしさは、世界的名優のゲスト出演というサプライズにあるわけではない。このドラマ、とにかく伏線回収が鮮やかなのだ。

 人生をやり直す度に様々な職業に就いてきた麻美だが、最終回では、大親友の夏希と美穂を飛行機事故から守るため、5週目の人生の全てを費やし、真里(水川あさみ)とともにパイロットの道を選ぶ。

 ラストでは無事に飛行機事故を防ぎ、長生きした4人の「58年後」が映し出される。ハイテク老人ホームで仲良く暮らしている4人がCHAGE and ASKAの楽曲「YAH YAH YAH」を歌う。「一緒に老人ホーム入ろう」という女子トークあるあるが現実化し、理想的な老後を迎えるラストの素晴らしさに心を打たれていると、予想だにしなかった大オチが待っている。なんと、天寿を全うした4人は、来世で鳩に生まれ変わるのだ!

 実はこの鳩は1話の冒頭に登場していた。あまりに見事な伏線回収に、バカリズム天才! と膝を打ち、いそいそと第1話からリピート視聴する人も多かったのではなかろうか。

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