ドラマ『秘密』考察&感想。板垣李光人”薪”が息を呑むほど美しい…圧巻の出来だった第7話、もっとも素晴らしかったのは?【ネタバレ】

text by ばやし

板垣李光人&中島裕翔がW主演のドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)が放送開始中。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”が、死者の生前の記憶を映像化する特殊技術で難事件に挑む。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・ばやし)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:ばやし】

ライター。1996年大阪府生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、食品メーカーに就職したことをきっかけに東京に上京。現在はライターとして、インタビュー記事やイベントレポートを執筆するなか、小説や音楽、映画などのエンタメコンテンツについて、主にカルチャーメディアを中心にコラム記事を寄稿。また、自身のnoteでは、好きなエンタメの感想やセルフライブレポートを公開している。

第7話は圧巻の出来

『秘密~THE TOP SECRET~』第7話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第7話©カンテレ

 第7話は圧巻の出来だった。原作漫画のストーリーを忠実に再現したうえで、物語の重厚さを損なうことなく、キャスト陣は演じるキャラクターの葛藤を芝居に反映させる。

 本エピソードで描かれるのは、原作においても極めて大規模に展開される事件だ。発端となったのは、千堂外務大臣(生瀬勝久)の一人娘・咲が何者かの手によって誘拐されたことだった。

 誘拐事件は本来、死者の脳をもとにして捜査を開始する法医第九研究室(通称・第九)の管轄ではない。しかし、誘拐された咲の安否を聞き出す前に警察の不手際によって、被疑者とされていた吉田さなえ(千葉雅子)は自ら死を選んでいた。

 このことから、薪(板垣李光人)は「千堂咲誘拐事件」の指揮権が第九へと移管されたことを捜査員に告げる。さなえの脳に記憶された“秘密”をMRI捜査によって暴き出し、咲の現在地を突きとめるために。

「はじめに死体ありき。第九が神の領域を蹂躙した捜査と忌み嫌われる理由はここにある」と青木(中島裕翔)がモノローグで語るように、事件に関わる死者の脳が捜査の俎上にあがった瞬間に現れる第九は警察組織のなかでも異質な存在だ。

 人命を救う最大の武器にもなりうるが、死者が出ない限り彼らの出る幕はない。冒頭で週刊誌に書かれた第九の記事を読む淡路真人(伊武雅刀)もそう考えたのかもしれない。

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