「演者の数だけ作品との向き合い方がある」アニメ『チ。―地球の運動について―』石毛翔弥が語る声優としての信念とは?

text by あさかしき

NHK総合で放送中のTVアニメ『チ。―地球の運動について―』(以下、『チ。』と表記)が遂にクライマックスを迎える。本作は、「地動説」を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語。今回は、アルベルトを演じる石毛翔弥さんにインタビューを敢行。『チ。』の魅力や、声優としての美学・信念を伺った。(取材・文:あさかしき)

「アルベルトが生きる日常をどう嘘のないように生きるか」

石毛翔弥 写真:武馬怜子
石毛翔弥 写真:武馬怜子

―――アルベルト役に決まってのお気持ちと、原作を読まれての感想を教えていただけますか?

「決まった時は、率直に嬉しかったです。公式のコメントでも書かせていただきましたが、『チ。』はすごく壮大な物語なんだけれども、各登場人物の心情は我々現代人にも通ずるところがあり、突飛な作品というよりは、登場人物に共感して身近に感じられる作品だと思います」

―――石毛さんが演じるアルベルトが登場する世界は、『チ。』でこれまで描かれてきた世界とは舞台が異なりますよね。演じるにあたり、そういったことは意識されましたか?

「そういう立ち位置については、あまり意識はしませんでした。コンテンツという面で見たら、それぞれキャラクターの立ち位置はあると思いますけど、『チ。』の中で生きている人たちは、そういったことは全く考えずに暮らしているので。この作品においてのアルベルトがその時生きている日常をどう嘘のないように生きるか、ということだけに注力して演じさせてもらいました」

―――石毛さんから見て、アルベルトのどんなところに魅力を感じますか?

「アルベルトは、幼少期の出来事によって自らの好奇心に蓋をしていて、何かを知ろうとすること自体が害悪だと思っています。

これは僕の想像なんですが、アルベルトは劇中では鬱屈とした状態が続いていますが、そうして暮らす中でも、考えること自体を全く放棄していたわけではないと思うんです。自らの葛藤を受けとめて選択することが出来るのも、元々の地頭の良さと好奇心あってのことで、そういう彼の知性には魅力を感じています」

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