最も演技が上手い「アイドル出身女優」は? 大化けした宝石(4)役づくりで坊主頭に…アイドルから国民の顔へ

text by 阿部早苗

“アイドル出身”と聞くと、華やかでキラキラしたイメージが思い浮かぶかもしれない。しかし、アイドルの世界を生き抜いてきた彼女たちは、確かな実力を身につけている。今回は、そんな経験を糧に、アイドルから女優へと見事な転身を遂げた5人の実力派女優を紹介する。第4回。(文・阿部早苗)

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幅広い役柄を演じ分ける確かな実力

綾瀬はるか

綾瀬はるか【Getty Images】
綾瀬はるか【Getty Images】

「第25回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞し、芸能界デビュー。現在では国民的女優として広く知られている綾瀬はるかだが、デビュー当初はグラビアアイドルや「ホリプロ・アイドル・パラダイス」略して「Hip」というアイドルグループの1人として活動していた。ちなみに「Hip」はメンバーの入れ替えを行いながら活動しており、歴代メンバーの中には深田恭子や新山千春、優香といった名前が見出せる。

 そんな綾瀬の役者デビューは2001年に放送されたドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)。松本潤が金田一役を務めた第3シリーズだ。その後、ドラマ『世界の中心で愛を叫ぶ』(TBS系、2004)でヒロインを演じ、大ブレイクした。

 演技もさることながら、このドラマで話題となったのが白血病を患うヒロイン広瀬亜紀を熱演した綾瀬が坊主頭になったことだ。この作品をきっかけに演技派女優としての地位を確立したと言っても過言ではない。

 多種多様なキャラクターを演じ分ける綾瀬。ドラマ『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系、2007)では、”干物女”こと、愛すべきダメ女を演じ、視聴者の共感を集めた。一方で、映画『海街diary』(2015)では、三姉妹の中で長女という複雑な立場にある幸を演じ、是枝裕和監督の繊細な演出に見事に応え、日本アカデミー賞優秀主演女優賞にノミネートされた。

 出演作すべてが話題となるのは、演じるキャラクターの感情を丁寧に表現するだけではなく、演技をしていると意識させないナチュラルさと細部にまでこだわった繊細な表現力の賜物だろう。虚構のキャラクターに息吹と独自の魅力を吹き込む彼女が、次にどんな役を演じるのか、楽しみでならない。

(文・阿部早苗)

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