名作ぶち壊し…史上最低のリメイク日本映画(2)。大赤字の大爆死? 中途半端さが目立つ”黒歴史級”失敗作
text by 寺島武志
今回はリメイクされた最低の日本映画をセレクト。旧作をリスペクトしているのは分かるが、あまりにもお粗末過ぎる…。せっかく製作するなら、もう少し過去作に寄せるなりして欲しかった…。「名前だけ借りたかっただけでは?」と、ついつい小言を言いたくなってしまう作品群を紹介する。今回は第2回。(文・寺島武志)
●橋本環奈映画初主演作は黒歴史? 中途半端さが目立つ残念なリメイク
『セーラー服と機関銃 卒業』(2016)
製作国:日本
監督:前田弘二
原作:赤川次郎
脚本:高田亮
キャスト:橋本環奈、長谷川博己、安藤政信
【作品内容】
1981年に公開されて大ヒットした、薬師丸ひろ子が主演した『セーラー服と機関銃』のその後を描いた赤川次郎の小説を、人気アイドルの橋本環奈主演で実写映画化。橋本環奈の映画初主演作でもある。オリジナル版は社会現象を巻き起こし、興行収入は47億円にも上り、主題歌もヒット、薬師丸ひろ子人気を決定づけた作品だ。
【注目ポイント】
一方で、アイドル映画でもヤクザ映画でもない、カテゴライズが難しい異色の映画でもあったのは事実だ。
当時の角川映画の勢いもあったのではないだろうか。女子高生がヤクザの組長になるなどといった設定は、今となっては有り得ないことだろう。そうした普通の映画の範疇には入らない異常さがオリジナル版の魅力でもある。名匠・相米慎二の破天荒な長まわし演出は、奇想天外な物語設定に活き活きとした映画的パワーを注入することに成功している。
リメイク版は「角川映画40周年記念作品」として製作されたものの、その間の暴対法施行などによる暴力団の弱体化などの時の流れには抗えず、“時代遅れ感”は否めなかった。
その上、オリジナル版と同じくアイドル映画にもヤクザ映画にも振り切ることができず、興行収入は1億円にも満たなかった。紅白歌合戦で堂々と司会を務めるなど、一流芸能人の階段を順調に上がっている橋本環奈だが、彼女にとっては、思わぬ“黒歴史”となってしまっている作品でもある。
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