なぜ最高傑作? 泣ける名シーンをものにした意外なキャラとは? 映画『ドラえもん のび太の絵世界物語』評価&考察レビュー
text by シモ
映画ドラえもんシリーズ45周年記念となる作品『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』公開中。絵の中に飛び込んだドラえもんとのび太たちが、幻の宝石を巡って時空を超えた冒険を繰り広げる本作。今回は、「歴代最高」と声が上がっている本作の魅力に迫る。(文・シモ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:シモ】
東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『イル・ポスティーノ』、『パリ・テキサス』。
のび太とマイロの絆が交差するシーン
監督を務めるのは、ドラえもん映画としては、2013年に公開された『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』以来、12年ぶり4作目のメガホンをとる寺本幸代。
中世・アートリア公国の王女クレアと幼馴染みの絵描きマイロ、ドラえもんとのび太たちが、最強の敵イゼールの脅威から、幻の宝石“アートリアブルー”を見つけ出す物語だ。登場人物の心の内面を掘り下げて描くのが好きと語る寺本監督だが、本作でもその特徴がよく表れている。
例えば、絵描きの少年マイロが、幻の宝石である“アートリアブルー”の色に似たクレアの瞳の色味を表現しようと奮闘するシーンでは、マイロの心の葛藤が丁寧に描かれていた。
さらに、マイロにかまってもらえず絵に嫉妬するクレアや、時空ホールに吸い込まれ行方不明となったクレアを想う両親の気持ち、のび太がドラえもんを思う愛情なども、同様である。反対に、コツコツと絵を描き続けるマイロのことをのび太が羨むシーンでは、ストレートな表現がみられた。
「うまく書こうとしなくていいんだよ。大好きなものをだいすきだーって、書けばいいんだ」この台詞には、絵を描き続けるマイロ自身の信念が込められている。
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