『クジャクのダンス、誰が見た?』考察。西田尚美”京子”犯人説はフェイク? まだ明かされていない謎は?第9話レビュー【ネタバレ】

text by 苫とり子

広瀬すず主演の金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)が放送中だ。本作は、クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫るヒューマンクライムサスペンス。今回は、第9話のレビューをお届け。(文:苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

「どこから俺は道を誤った?」

『クジャクのダンス、誰が見た?』第9話 ©TBS
『クジャクのダンス、誰が見た?』第9話 ©TBS

「どこから俺は道を誤った?」という鳴川(間宮啓行)独白で始まった『クジャクのダンス、誰が見た?』第9話。「最終章 前編」と銘打たれたこの回では、22年前の東賀山事件から始まる一連の事件の謎がほぼ明らかになったと言っても過言ではない。

 まずは染田(酒井敏也)と阿波山夫妻を殺害した犯人。それはカラビナ男の正体=春生(リリー・フランキー)の放火殺人事件を担当する検事・阿南(瀧内公美)の父親であり、心麦(広瀬すず)たちに協力していた弁護士の鳴川だった。

 実は東賀山事件で検事を担当していたのが鳴川。以前、「嫁の実家が大会社で、今さら婿養子になった」と話していたように、検事時代とは苗字が変わっているために松風(松山ケンイチ)も気づかなかったのだろう。鳴川は遠藤力郎(酒向芳)を死刑判決に追い込んだことを誇りに思っていた。

 ところが、20年以上が経った日のこと、鳴川は“ある人”からの連絡で山下春生という刑事が東賀山事件を調べ直していること、力郎は冤罪の可能性が高いことを知る。その時、鳴川の頭に浮かんだのは、自分と同じ法曹の道に進み、検事となった阿南の顔だった。

 妻子がいながら愛人を作り、その愛人との間に阿南をもうけた鳴川。法曹家としてあるまじき倫理観の無さだが、一応、良心の呵責はあったのだろう。

 何もしてやれなかった娘に、せめて父親として立派な背中を見せたい。それが犯行の動機であり、鳴川は“口封じ”のために、染田と阿波山夫妻を殺害したのだ。

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